“女性”かつ“マイノリティ”は大統領選で不利だった? アメリカの人権意識の現状をニューヨークZ世代が議論
◆アメリカ人の人権意識は向上している
これまでの放送でも、若い白人男性が女性やマイノリティから取り残されていると感じたことが、トランプ票の増加につながったのではないかという話をしました。今回の大統領選では、大きなジェンダーギャップと男女の政治的な分断があったと、ラボメンバーたちは感じています。 一方で、ハリス氏の敗北はあくまでも政策が原因だったと反論するラボメンバーもいます。ケンジュの意見を聞いてみましょう。 ケンジュ:もしアメリカ(の人権意識)がまだそのレベルだったのなら、オバマが大統領になることはなかったんじゃないかな。彼女が負けた主な要因だったとは思わない。「女は嫌だから男に入れる」みたいなことはなかったんじゃないかな? ノエ:別に僕は「男のほうが女より頭がいい」とか「女は絶対信じない」と、みんなが思っていると言っているわけじゃないんだ。なんというか、「男性はなんとなく女より少し有能だろう」ぐらいの感じ。ただ、なんとなくそう感じているだけなんだ。そのぐらい微妙なことだと思うよ。 僕も今回は女性にとってチャンスだと思っていたよ。ハリスは副大統領というところまで来ていたわけだし。アメリカ人は日本やアフリカ、中東のような地域と比べれば、それほどひどくはないと思うよ。それでも、政権を取るチャンスが平等にあるとは思えないけれど。ヨーロッパのほうがうまく行っているよね。 ケンジュ:2016年のヒラリーもかなりいい線行ったよ。彼女は一般投票ではトランプに勝っていたんだよね。 ノエ:そうだよね。だからよくはなっていると思うよ。 アメリカの差別が酷かったなら、オバマが大統領になることはなかっただろうと考えるケンジュ。それに対し、ノエははっきり見えない程度のものだとしても、人種差別も女性差別もいまだあると考え、政権を取るチャンスは平等ではなかったと意見を述べます。 「たしかに8年前にヒラリーは負けましたが、一般投票では勝っていたんですよね。つまり、選挙人投票ではなく直接投票だったらトランプに勝って大統領になっていたかもしれません」とZ世代専門家のシェリーは説明します。 今回も、トランプ氏が一般投票で勝ったとはいえ、過半数には届いていませんでした。そう考えれば、彼らの「よくはなっているとは思う」という言葉には説得力があります。人種とジェンダーは大統領選に限らず常に論争になりますが、気になるのはメアリーが言っていたDEIの問題。ダイバーシティ・イクイティ・インクルージョンとは、すなわちさまざまな人種やジェンダーの人を公平に採用しようという動きを指します。 若いZ世代の8割はこの動きを支持していますが、単純に公平にと言っても、簡単ではないことはたしかです。シェリーは「特に男性や白人からは、自分たちが逆に差別されているという反感も生まれています」と現状を述べます。 今回、ハリス氏が負けたことにより、トランプ新政権の方針でDEIの動きはかなり後退すると予想されています。また、最近は女性を蔑視するようなSNS投稿がバズったり、黒人に対するヘイトメッセージが出回ったりといった不穏な動きもあります。 「この動きを警戒する人は、トランプが“ヘイトを恥と思わなくていい。言論の自由の一部”という文化を作ったと批判しています。このあたりも注視していかなければと思っています」とシェリーは発言し、話題を締めくくりました。 (interfm「NY Future Lab」2024年12月4日(水)放送より)