「妻とは離婚したから結婚しよう」 既婚男性に10年もだまされていた女性、慰謝料請求はできる?
●女性が男性の妻から慰謝料請求されたら?
――女性は男性が既婚者であることを知らなかったといいますが、10年間不貞行為があったことには間違いありません。女性は妻から慰謝料請求される可能性はありますか。 妻の存在を知らなかったことについて、相談者女性に過失があったと認められる場合には、慰謝料請求が認容される可能性はあります。 したがって、その線を狙って、男性の妻が慰謝料請求をしてくる可能性は少なくないといえます。この場合、妻の存在を知らないことについての過失の有無は、最終的には裁判官による認定に委ねられます。 ## ●「妻とは離婚した」という嘘を見抜くためには? ――「妻とは離婚した」といって不貞行為をはたらく既婚男性は散見されます。こうした場合、女性側が男性が既婚者であるかどうか、調べる方法はあるのでしょうか。 法律上の婚姻関係の有無は、戸籍謄本の記載を見ればわかります。また、独身であれば、独身証明書の発行を受けることも可能です。 これらの証明書は、原則として、男性本人にしか取得できません。したがって、男性に対して、「私はあなたが既婚者なのではないかと疑っている。戸籍謄本を見れば一目瞭然であるから、あなた自身で取得のうえ、原本を私に交付してほしい」と求めるというのも、ひとつの方法だと考えられます。 「交際を始めた後に、疑わしい事情があって、戸籍謄本を確認したいが、相手が応じてくれない」ということであれば、貞操権侵害に基づく慰謝料請求訴訟の準備として、弁護士に依頼して戸籍謄本を職務上請求してもらうという方法もあります。 しかし、職務上請求は訴訟提起を前提とした手段ですし、現物を見せることは慎重に判断すべきこととされていますので、あまりお勧めできる方法ではありません。 【プロフィール】 河内 良(かわち りょう)弁護士 大学時代は新聞奨学生として過ごし、平成18年に旧司法試験に合格。平成28年3月に独立した。趣味はドライブと温泉めぐり。 事務所名 :河内良法律事務所 事務所URL:https://www.kawachiryo-law.jp/