ハリルは槙野になにを要求したのか その謎を解く
国内組を対象とした日本代表候補合宿は13日、千葉県内で午前(非公開)、午後(公開)の2部練習を行い、2日間のスケジュールを打ち上げた。 ヴァイッド・ハリルホジッチ監督の強い希望を受けて、過密日程のJリーグの合間を縫って実施された今回のミニキャンプ。計3度の練習を通じて目指すサッカーのコンセプトを伝えるとともに、指揮官はピッチの外でも選手たちとコミュニケーションを密に取ることを目的として掲げていた。 たとえば12日の夜。夕食前のわずかな時間を利用してハリルホジッチ監督はDF槙野智章(浦和レッズ)を呼び出し、個人面談を設けている。 指揮官は合宿前日の段階でメディアを介して、センターバックの序列で吉田麻也(サウサンプトン)、森重真人(FC東京)に次ぐ3番手を争っている槙野へこんなメッセージを送っていた。 「槙野に何を言うかはもう考えてある。ACLの試合を見て、彼のための映像も20日前から用意している。いいディスカッションができると思う」 果たして、何が伝えられたのか。 メッセージを伝え聞いていた槙野は「僕も期待してこの合宿に乗り込みました」と苦笑いしながら、面談の一端を明かした。 「的確で重い言葉をしっかりといただきました。具体的なことは言えませんけれども、僕個人がピッチの上でそれを意識しながらプレーで表現する、プレーを変えることが監督へのメッセージ返しになると思っています」 詳細は槙野の心の中に封印されたが、ヒントはある。まずはACLだ。レッズは水原三星(韓国)、北京国安(中国)、ブリスベン(オーストラリア)と同組となったグループGで1勝1分け4敗の最下位に終わり、日本勢のなかで真っ先に姿を消した。 1勝は敗退決定後で消化試合となった最終戦であげたもので、それまでの5試合で8失点を喫するなど守備が崩壊。槙野をはじめとするDF陣のボールホルダーへの寄せが中途半端で、結果として楽にゴールを決められた場面をハリルホジッチ監督は問題視したのだろう。 指揮官は就任以来、ボールをもつ相手との間合いを「常に1m以内に詰めろ」と厳しく注文してきた。約1年半ぶりとなるキャップを獲得した3月のチュニジア代表戦で見せた、槙野のアグレッシブなディフェンスが影を潜めていたと伝えたかったのではないだろうか。