ノンフィクション作家が明かす「本の書き方」。本の質やインパクトは「構成」が左右する!取材で集めた“素材”をどう組み立てるかを解説。
■小ストーリーの刈り込みと整理 このように書き出して、大ストーリーに照らして俯瞰してみると、小ストーリーの中でも必要なものとそうでないものとが見えてくる。 市長の「市長になった経緯」の小ストーリーは、災害ルポとしての大ストーリーとしては無関係だから省こうとか、住職の「遺体安置所への慰問」と「仏教会の設立と遺体安置所での読経ボランティアの開始」は1つにまとめられるといったように、だ。 インタビューで得た小ストーリーをすべて使うことはできないので、使えないものは刈り込み、使えるものを残して整理する必要がある。この段階では、集めた小ストーリーの3分の1くらいは切り捨てるくらいの覚悟を持つべきだろう。書き手は多くを語りたがるものなので、切るか切らないかで迷ったら、切るのが正解だ。
これらの構成術を発展させて、時間軸から自由になる新スキルは『本を書く技術』を参照してほしい。
石井 光太 :作家