指示役がスマホで「殴ったり蹴ったりしていい」…闇バイト応募の25歳「断れば同じ目に遭う」と暴力
逮捕監禁罪などに問われた東京都小平市、無職の男(25)、住居不定、無職の男(21)の両被告の公判が23日、さいたま地裁であり、中川卓久裁判官は両被告に懲役3年、執行猶予5年(求刑・懲役3年6月など)の判決を言い渡した。公判では事件当日に初めて会った2人が、闇バイトを入り口に犯罪組織から抜け出せなくなった経緯が明かされた。
判決などによると、両被告は何者かの指示を受け、8月下旬夜、さいたま市西区の公園で、同区の派遣社員男性(当時34歳)を連行し、乗用車に監禁。車内で殴るなどし、「100万円払って」などと恐喝しようとした。男性は、複数の闇バイトに関わろうとし、指示役らに狙われたとみられる。
25歳の被告は、金ほしさに事件の数日前、X(旧ツイッター)から闇バイトに応募。「タタキ(強盗)やUD(詐欺の受け子・出し子)はやらない」などと条件をつけていたが、事件当日は指示役から「闇バイトの約束を破った人を車に乗せて逃がさないで」「殴ったり蹴ったりしていい」などと指示されていた。
こうした事件が相次いでいることは知っており、男性に暴力をふるう時には「かわいそう」と思った。だが、スマートフォンを通して次々と指示が出され、「言われたことをしないと自分も同じ目に遭う」と怖くなり、途中でやめられなかったという。
21歳の被告は、海外でシェフとして働いていたが、帰国後に困窮し、Xで「パチンコの打ち子」などと検索。「アカニシ」を名乗る人物らと知り合い、個人情報などを送った上で事件に関与することになった。
自分の行為が犯罪にあたるという認識はあったが、体格のいい25歳の被告が近くにいた上、指示役に身分証などを渡していたため、やめることができなかったという。「(男性に)怖い思いをさせて本当に申し訳ない」などと述べた。
判決公判で中川裁判官は、両被告に対し「警察に相談するなど合法的な手段を取らなかったことに酌量すべき事情は見当たらず、刑事責任は軽視できない」と結論づけた。