宣言全面解除 安倍首相が会見(全文4完)支持率に一喜一憂せず、全力尽くしたい
五輪開催可否をいつまでに最終判断するのか
日本経済新聞:日本経済新聞の重田です。東京五輪についてお伺いいたします。本日、緊急事態宣言の全面解除となりましたが、世界ではなお、新型コロナウイルスの感染拡大が続いています。東京五輪には多くの観客が訪れるとみられますが、PCR検査などの検査体制の大幅な拡充、これは検討されますでしょうか。また、バッハ会長は来年の開催が困難なら中止との見通しを示していますが、再延期の選択肢はないという理解でよろしいのでしょうか。来年の開催の可否をいつまでに最終判断するかという点と併せてご見解をお願いします。 安倍:現在は大会を主催するIOC、そして大会組織委員会等が来年夏の開催に向けて精力的に準備を進めているというふうに承知をしておりますが、新型コロナウイルスとの闘いは長期戦も覚悟しなければならないと思っています。政府としては、来年の夏に人類が新型コロナウイルス感染症に完全に打ち勝った証として完全な形で東京大会を開催したいと考えていますし、そういう方針であります。しかしそのためにも、これは日本だけでこの感染が収束すればいいということではなくて、もちろんオリンピックでありますから世界中の人々がやってきます。そして世界中の国々の選手はトレーニングもしなければならないでしょう。そういう意味におきましては、国内外の英知を結集して、治療薬、そしてワクチンの開発を急ぎたいと、こう思ってます。 もちろん国内においてPCRの検査体制を強化していく、充実していくということについては、抗原検査も含めて、また、先ほどPCRセンターを100近く開設をしていくというお話もございましたが、しっかりとそういう体制も整えていくことはもちろん重要なんですが、同時に、今申し上げましたように、オリンピックを開催する上において、治療薬、ワクチンも極めて重要であるというふうに考えています。 司会:それでは次の方。
米国と中国が対立、日本はどっち側につくのか
ウォール・ストリート・ジャーナル:ウォール・ストリート・ジャーナルのランダースと申します。今、アメリカと中国がウイルスなどを巡って激しく対立しているわけですけれども、日本はどっち側につくでしょうか。そして先ほど、特定の国に依存することなくという表現をされたと思うんですが、これはやはり日本企業に対して、できるだけ速やかに中国による依存度を下げるべきだと、そういうお考えでしょうか。 安倍:例えば現在、中国と米国との間で新型コロナウイルス感染症の発生源を巡って相当激しく議論が行われています。日本の立場でありますが、この新型コロナウイルスについては中国から世界に、これは広がったというのは事実であるというふうに考えています。そして今後の日本の役割としては、今回のようなパンデミックが起こったときに世界がどう対応していくべきかという、その在り方について提示をしていくことなんだろうと思います。こういうときには世界中が協力をしなければいけません。その中でWHOもしっかりとその役割を果たしていただかなければならないというふうに考えています。 ただ、日本の外交、安全保障の基本的な立場としては、米国は日本にとって唯一の同盟国でありますから、日本は同盟国として、また、自由や民主主義や基本的人権、法の支配といった基本的な価値を共有する同盟国として、米国と協力をしながら、さまざまな国際的な課題に取り組んでいきたいと考えています。 同時に中国も、これは世界の中において極めて経済的にも重要な国であり、また、プレーヤーでもあります。その中でそれにふさわしい責任も果たしていただきたいというふうに考えておりますし、日本と中国においてもこれは共有している考えでありますが、まさに国際社会が求めているのは日本、中国、それぞれ国際社会において期待されている、それはまさに地域の、また、世界の中において、地域の平和と安定、繁栄に、責任ある対応を取っていくということなんだろうと、中国がそういう対応を取ってくれることを期待したいと、こう思っております。