世界中が熱視線!発酵デザイナー・小倉ヒラクさんが考えるこれからの“発酵文化”
小竹:素敵ですね。 小倉:それを掲げて2020年の4月1日にオープンして、3日目に緊急事態宣言が発動されまして…。お店というのは開店したときに一番人が来るのに、無人からスタートという本当に辛い3年間を生き延びて、みなさんのおかげで今も元気に営業しています。 小竹:大変でしたね。 小倉:高級スーパーとか食のセレクトショップとか、素敵な食品売り場っていっぱいありますよね。そこと僕たちの違いが何かというと、「おいしいものを集めました」とか「本物を集めました」とかではないということ。 小竹:うんうん。 小倉:網羅への執念がありまして(笑)。醤油というカテゴリーがあったら、考えつく限りの全てのバリエーションを集める。 小竹:とにかく集めるのですね。 小倉:ある種のミュージアムであり、アーカイブの場所です。スーパーには普通のお醤油がいっぱい売っていますが、実はカテゴリーとしては、濃口醤油と薄口醤油の2種類しか置いていない。その2種類のスペック違いと値段違いと容量違いです。 小竹:そうですね。 小倉:スーパーは醤油の数は多いのですが、ラインナップは僕たちに絶対に勝てない。なぜなら、濃口醤油、薄口醤油、白醤油、たまり醤油、再仕込み醤油、魚醤が4種類、なんだかよくわからないカテゴリー化できない謎の醤油もあります。 小竹:ありましたありました(笑)。 小倉:僕たちは発酵文化の多様性をいかに発展・継承させていくかを主眼に置いていて、マーケティング的なことも考えますが、それよりもこの多様性をいかに引き継ぎ、より多様になるように何ができるかということを考えていくお店なんです。 小竹:はいはい。 小倉:1個1個サプライズがあるものが多い。それは僕たちが仕掛けたというよりは、日本全国の小さな島や村でずっと作られてきたものです。それが現代的なコンテクストに置かれたときにすごい破壊力を持つというのが「発酵デパートメント」の面白みです。