「Copilot+ PC」をめぐる“三大怪獣大決戦”を楽しんだ2024年に、液タブの“最終局面”をうかがう
動きが小さくて気になるワコム製品
そこで気になるのが、ワコムの動向です。2024年の目立った新製品は、同社初の有機EL液タブ「Movink 13」ぐらいでした。 ワコムの現状の製品ラインアップは、ちょっと隙が大きいと思います。 ・めちゃくちゃ出来が良いけれど高級品すぎる新Cintiq Pro ・旧Cintiq Proは高価なまま古さが目立ち始め ・スタンダードCintiqも古さが目立ち ・Wacom Oneは新しくて良いものの、ペンがエントリー品質 で、特に後者2つは、海外メーカーがモダンな仕様の新製品をどんどん出すことで隙を突かれやすくなっています。また、接続や設定などが煩雑なPCよりもiPadとApple Pencilを好む人も増えていく中で、対抗できる製品がありません。
ひっそり強靱(きょうじん)になっていたワコム
これだけみると、ワコムは大丈夫なのか? と思う人もいるかもしれませんが、全然そんなことはありません。 液タブやペンタブとしては競争環境が厳しい上に「ステイホーム特需」の反動による落ち込みも癒えませんが、Samsungの「Galaxy」といった他社製品のペン技術を担う「テクノロジーソリューション」事業がギャンギャンに伸びています。自社ブランド製品がどうあれ、裏方でもしっかり稼げる企業に、たった数年で変化しているわけです。 とはいえワコム製品としてもラインアップを更新しないといけないわけで、ボクが見たいのも新しいワコム製品なわけです。はよしてくれ……。 個人的に期待しているのは、モバイルと気楽なドローイング志向だったMovink 13が号砲になって、長らく更新されていなかった「MobileStudio Pro」が復活したり、iPadと撃ち合える製品に発展していったりしてくれることです。
多彩で楽しい左手デバイス
意外と左手デバイスに注目したのも2024年の特徴でした。 ロジクールの「MXクリエイティブコンソール」は、ディスプレイボタン+分割式という男の子心をくすぐる快作でしたし、 一方の「TourBox Elite Plus」はiPadの厳しいOS制限の中で、トラックパッドやキーボードデバイスのふりをすることで、ある程度実用的な操作性を獲得していました。 液タブやペンタブは、性能や使い勝手の面でどうしてもどこかに収束していくような感じになってしまいます。ところが左手デバイスは、個性的な仕様や形を生かした独特な製品が多くて、触って楽しいし、選び甲斐もあると思います。今後もちょくちょく見ていきたい分野ですね。