「曙太郎vs.ボブ・サップ」が”紅白超え”の視聴率を達成! 格闘技が紅白に勝った日、その瞬間とは
いまから21年前の2003年12月31日は、日本のテレビ史においても特筆すべき一日となっている。日本テレビ、TBS、フジテレビがいずれもゴールデンタイムに格闘技を中継。なかでもTBSが放映した「Dynamite!!」のメインイベントとして行われた「曙太郎対ボブ・サップ」は注目度が高く、試合が中継されていた23時00分~23時03分の4分間は、視聴率でNHK紅白歌合戦を上回った。もちろん、民放番組が視聴率で紅白を超えたことは後にも先にも、このときだけである。 「曙太郎vs.ボブ・サップ」終了の裏で、NHKホールに響いたSMAPの勝利宣言 元横綱は、いかにして大晦日の舞台に上がることになったのか。12月19日刊行の『格闘技が紅白に勝った日 2003年大晦日興行戦争の記録』(細田昌志著、講談社刊)から、その舞台裏をお届けする。 前編<2003年大晦日「曙太郎vs.ボブ・サップ」早々の終了の裏で、NHKホールに響いたSMAPの“勝利宣言”>
格闘技が紅白に勝った日
1月2日は、例年、業界関係者にとって、胃がきりきり痛む日である。 視聴率調査会社であるビデオリサーチ社が、大晦日のテレビ視聴率を発表する日で、ある者は歓喜のはてに正月気分にどっぷり浸かり、ある者は一気に正月気分が醒めて、仕事始めに備えて始末書を書き始める。 結果は次の通りとなった。 『第45回 輝く!日本レコード大賞』(TBS) 11.7% 『NHK紅白歌合戦』(NHK)第1部 35.5%・第2部45.9% 『生放送!!お笑い年忘れネタの祭典ライブ2003』(日本テレビ) 8.1% 『ドラえもん大晦日だよ!全員集合』(テレビ朝日)11.0% 『ビートたけしの世界はこうしてダマされた!? 超常現象ファイル第4弾』(テレビ朝日)6.1% 『年忘れにっぽんの歌』(テレビ東京) 10.5% 『アジアNo.1は誰か!? マジシャン選手権』(テレビ東京) 2.2% 紅白歌合戦が4年連続50%を割ったばかりか、前年より1.4%も数字を下げた。 そして、注目の格闘技中継の結果はこうなった。 『PRIDEスペシャル男祭り2003』(フジテレビ)第1部 17.2%・第2部8.9% 『イノキボンバイエ2003~馬鹿になれ夢をもて~』(日本テレビ) 5.1% 『K-1プレミアム2003 人類史上最強王決定戦 Dynamite!!』(TBS) 19.5% 『K-1 Dynamite!!』は、前年の『INOKI BOM-BA-YE 2002』の16.5%から3%も増やし、これまで『白虎隊・後』(日本テレビ/1986年)が堅持してきた17.2%を超える、大晦日民放新記録を達成したのである。 しかし、重要なのはそのことではない。