「曙太郎vs.ボブ・サップ」が”紅白超え”の視聴率を達成! 格闘技が紅白に勝った日、その瞬間とは
大晦日の歴史が塗り替わった
ビデオリサーチ社が、毎分視聴率の計測に重点を置くようになったのは、リモコン使用が主となった1985年以降だが、大晦日に限っては、どれほど紅白歌合戦が視聴率を下げようと、瞬間でも紅白を上回る裏番組が現れることはなかった。 それが、2003年大晦日は、歴史が塗り替わった年となった。 22時59分=紅白43.0% K-1 33.1% 23時00分=紅白37.8% K-1 38.7% 23時01分=紅白35.8% K-1 42.4% 23時02分=紅白35.5% K-1 43.0% 23時03分=紅白35.8% K-1 42.0% 23時04分=紅白44.7% K-1 23.5% 23時00~03分の4分間は、テレビ史上初めて、紅白歌合戦が視聴率で裏番組に抜かれた、歴史に残る4分間となった。 このとき、K-1は「曙太郎対ボブ・サップ」の試合開始直前から試合終了までを中継していた。 43%を記録したのは、まさに、曙がサップに倒された瞬間である。同じ時刻に、紅白は長渕剛が『しあわせになろうよ』を熱唱していた。すなわち、K-1は長渕を倒して、文字通り「しあわせになった」のである。 23 時04分に、K-1の視聴率が一気に急落している理由もわかる。曙が倒された直後にCMに移ったからだ。もし、ここでCMに行かなければ、瞬間最高記録は23時10分程度まで更新され、おそらく、平均視聴率も20%を超えていたと想像がつく。 大混乱として伝わる「民放3局同時格闘技中継」だったが、その副産物は“紅白超え”という前代未聞の快挙だったのである。
細田 昌志(総合作家)