ADHDの子を持つ親は「子どものセラピスト」になろう――叱らずに導く”ペアレンティング”をご紹介!
困った行動はなぜ? 誰に相談する? 治療すればよくなる? この先どうなる? イラスト図解で基礎からわかるADHD入門書『ADHDがわかる本 正しく理解するための入門書』より、連載形式でADHDの「今」をご紹介します。 友達とのトラブルに親が入ってはいけない!? ペアレンティングの三大原則 今回は、ADHDの子を持つ親はどのような心構えでいたらいいのか、「ペアレンティング」を解説。
子どものセラピストになろう
ADHDの子どもは「育てにくい」といわれることがありますが、それは特性をまだ理解できていないから。子どもの「セラピスト」になったつもりで受け入れ、特性にあった対応を身につけていきましょう。 ADHDの治療法のうち、行動療法や環境変容法は、各家庭でも実践することができます。子どもの特性を踏まえ、行動療法や環境変容法を取り入れた子育てを「ペアレンティング」といいます。 この「ペアレンティング」は、子どもの「心」を変えようとするのではなく、「行動」に着目して、適切な行動を引き出すのが特徴。実際に「親子関係がよくなる」「問題行動が減り、適切な行動が増える」などの効果が実証されています。子どもの特性を理解し、受け入れるためには、まず、親自身の意識と行動を変えるところからはじめる必要があります。 ■親はもっとも身近なセラピスト 感情的に叱責してはいけません。子どものセラピスト(治療者)として、「ほめる」ことで「よい行動」を増やしていきます。
「ペアレンティング」とは
「ペアレント・トレーニング」は一部の専門機関でしか受講できないことが多いのですが、「ペアレンティング」は、家庭でも自習できる子育て法です。さまざまな特性に対応し、適切な行動を増やすことをめざします。
子どもへアプローチする行動療法
(1)トークンエコノミー ・家庭・学校で対象児に対しておこなう ・望ましい行動をとれたときにトークン(スタンプ、シールなど)を与える ・望ましくない行動をとったときはトークンをとりあげる (2)タイムアウト ・家庭・学校で対象児に対しておこなう ・ 不適切な行動に対して一定時間別室など離れた場所にとどまるよう命じる