米国大統領選挙:「何が起きたのか?」を掴む6つのポイント
NBC調査では国民の6割以上が「国が誤った方向に進んでいる」と考えている[勝利パレードに集まったトランプ次期大統領の支持者たち=2024年11月17日、アメリカ・フロリダ州ウェストパームビーチ](C)AFP=時事
筆者は、本年このサイトにおいて4回にわたり米国大統領選挙に関する論考を発表してきた 1 。本稿では現地時間11月5日に行われた本選の結果を踏まえ、今回の選挙の取りあえずの総括を試みたい。なお、現時点では、投票データの詳細が判明しておらず、直感的な分析にならざるを得ないことはあらかじめお断りしておきたい。また、 第2次トランプ政権 の展望については、機会があれば稿を改めて議論することしたい。 まず、選挙結果自体については、歴史的接戦との事前の予想にもかかわらず、案に相違して選挙当日の深更には、ドナルド・トランプ前大統領の当選が早々と確定した。このため今回の選挙はトランプの「圧勝」だったという見方が多い。 しかし、激戦州の結果を仔細に見ると、いわゆる「青い壁」を構成するウィスコンシン、ミシガン、ペンシルベニア3州の得票率の差は概ね2%ポイント以内、統計上の「誤差」の範囲であることを考えると、「圧勝」と言い切るには若干の躊躇がある。仮にカマラ・ハリス副大統領がこの3州(及びネブラスカ州の第2選挙区)を制していれば、当選に必要な270名の選挙人を確保していた。選挙の結果が、全米50州の内、たった3州の2%足らずの有権者の投票で決まったのであれば、「接戦」だったという見方も成り立ち得る。また、各種報道によれば、全国的に見てもトランプの得票率は最終的には50%を切り、ハリスとの差は1.6%程度に留まる見通しだ。
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冨田浩司