JAXA吉川真さんが語る 日本航空宇宙学会「ジュニア会員制度」とは?
航空や宇宙の技術について専門家が集まり議論をする「日本航空宇宙学会(JSASS)」は、2023年から満13歳~満20歳を対象としたジュニア会員制度の募集を開始しました。学会というと大学などの高等教育機関に進学してから参加するものというイメージがありますが、ジュニア会員制度とはどのような制度で、参加することでどのようなメリットがあるのでしょうか。 そこで今回sorae編集部は、JSASSジュニア会員制度の推進委員であり、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の小惑星探査機「はやぶさ」「はやぶさ2」のミッションに携わってきたJAXA宇宙科学研究所(ISAS、宇宙研)の吉川真さんにお話を伺いました。 ■吉川真さんプロフィール JAXA宇宙科学研究所 宇宙機応用工学研究系 准教授、理学博士。JAXAプラネタリーディフェンス長/はやぶさ2拡張ミッションチーム。1962年 栃木県生まれ、東京大学大学院理学系研究科天文学専攻修了。日本学術振興会特別研究員を経て、1991年から通信総合研究所、1998年から宇宙科学研究所。専門は天体力学。はやぶさ2ではミッションマネージャを務めた。
■ISAS入所時から続く日本の小惑星探査との長い関係
──吉川さんといえば小惑星リュウグウのサンプルリターンに成功した「はやぶさ2」を思い起こす人が多いのではと思いますが、「はやぶさ」の頃から数えて何年くらいミッションに関わってこられたのでしょうか。 吉川:通信総合研究所の頃から「MUSES-C」(※ミューゼス・シー、「はやぶさ」のこと)の打ち合わせや会議には出席していて、1998年に入所した宇宙研としての関わりは20年以上になります。 「はやぶさ」は2003年に打ち上げられて、予定通り2005年9月に小惑星イトカワに到着しました。そこまではだいたい上手く行っていたんですが、1回目の着陸では不時着してしまい、上手く行ったかなと思った2回目の着陸では離陸したところ燃料が漏れ出してしまいました。それが2005年末頃のことで、そこで通信が途絶えてしまいます。その頃は大変な状況で、「はやぶさ」が地球に戻ってくるのは難しいかもしれず、そもそもタッチダウンの時にサンプルを採取するための弾丸を打ち出せなかったのでサンプルが取れていないだろうと思われていました。 こうした「はやぶさ」のトラブルを受けて、2006年に小惑星サンプルリターンの再挑戦として「はやぶさ2」を提案しました。提案チームの代表を務めましたが、研究費以上の予算はなかなか確保できない状況が続き、通信が回復した「はやぶさ」が2010年に帰還して話題になった後の2011年から「はやぶさ2」は正式なプロジェクトになりました。