正解はどっち? 「水やりを控えめに」は、量を減らす or 回数を減らす
1年を通して花が咲いた状態の株が販売されているコチョウラン。花の寿命は、ほかの洋ランに比べてもかなり長く、2~3か月咲き続け、長く観賞することができます。近年はマンションを中心に住宅環境の気密性が高まり、室内で簡単にコチョウランを冬越しさせることができるようになりました。栽培のコツを『NHK趣味の園芸 12か月栽培ナビ コチョウラン』(著・富山昌克)から紹介します。 みんなのコチョウランの写真
低温時の過湿に注意
コチョウランは冬越しをうまく行うと、10~20年もの間、生き続けます。失敗しない冬越しのコツは、低温時の過湿に注意すること。つまり、できるだけ最低温度を高く保ち、水やりを控えめに行うことです。 最低温度が15℃以上あると、ゆっくりと成長が続き、葉から水分の蒸散もある程度は続くので、根も少しずつ水を吸っています。しかし、最低温度が15℃を切ると、成長は停滞し、根は水をほとんど吸わなくなります。このときに水やりを行うと、植え込み材料がなかなか乾かず、根がずっと湿ったままになり、細菌が繁殖して、やがて傷んで腐ってしまいます。
「冬は水やりを控えめに」の意味
そこで、「冬は水やりを控えめに」ということになりますが、これは1回に与える水の量を減らすという意味ではありません。水やりの間隔(日数)を十分にあけて行うという意味です。11~5月までは、植え込み材料が完全に乾いたのを確認することが重要です。植え込み材料の表面だけでなく、割りばしを植え込み材料の中に差し込んで、乾き具合を確かめます。 気温の低下とともに、水やりの間隔をあけていきます。寒さの厳しい1月中旬~2月中旬は完全に乾いてから1週間以上待って水やりになります。 1回の水の量は年間を通じて一定で、3号鉢で100mL、3.5号鉢で150mLが目安。11~5月は30~40℃のぬるま湯を用います。
どうしても低温になる場合は......
極寒の時期に、どうしても何度か最低温度 7℃以下になってしまう場合は、1月下旬から2月末まで水やりを一切行いません。その代わり、毎日30℃のぬるま湯で湿らせた新聞紙やタオルで葉の表裏を数分間挟み込み、水分を補います。根を傷めずに保湿をするケアの方法です。
冬に購入するときは環境の変化に注意
販売されているのは、生産者の暖かい温室の中で育った株です。冬に店頭で購入するときは、寒い場所に陳列されている株は避けるようにします。今は花が咲いていても、寒さで株が傷んでしまっていることがあります。入手後も、外気やすき間風などの冷気に当てないように、暖かい場所で栽培するように努めます。 *本記事は『NHK趣味の園芸 12か月栽培ナビ コチョウラン』(NHK出版)を抜粋・再編集したものです。