腹痛と下痢や便秘に半年以上前から悩む人が、過敏性腸症候群(IBS)と診断されるまで
IBSの診断には、まず血液検査など一般的な検査から
IBSを診断するための検査としては、まず血液検査や便の検査といった定期健診でおこなわれるような一般的な検査から始めます。結果をみながら、さらに次の検査に進みます。腹部の検査をはじめ、大腸の検査や全身の検査が必要なこともあります。 【一般的な検査】 ●血液検査 体の中の炎症、内臓の機能、ホルモンの状態をみます。 •末梢血球数(赤血球、白血球、血小板の数を調べる) •血液生化学検査(肝機能、膵機能、腎機能など、血液中の成分を分析してみる) •炎症反応 •甲状腺ホルモン ●便潜血検査 便に血液が混じっていないかを調べます。消化器に炎症、腫瘍、潰瘍があると、便に血液が混じるからです。 ●尿一般検査 尿たんぱく、尿糖の数値から、腎臓のほか、泌尿器の状態もみます。 一般的な検査で数値の異常などが発見されたら、次の検査に進みます。医療機関によっては下記のほか、CTやMRIをおこないます。また、便潜血陽性、貧血、低たんぱく血症、炎症反応などから、大腸内視鏡検査に進むこともあります。 【おこなうことがある検査】 ●エックス線検査 腹部単純エックス線検査といい、肺の検査と同様に、腹部を撮影します。肝臓や腎臓のシルエットとともに便やガス、腸の形がみえます。 ●超音波検査 腹部のほか、甲状腺など全身をみることができます。 ●大腸内視鏡検査 大腸の中を直接みることができるので、病気の発見や治療に欠かせない検査です。適切に検査がおこなわれれば、痛みどころか違和感もない検査ですが、痛みを感じやすく、検査じたいも難しいのがIBS患者さんです。 検査施設の状況によりますが、麻酔を使用している施設では希望を受けてくれます。内視鏡検査で使用する麻酔は鎮静剤で医療用麻酔です。希望するなら、よく考えて医師に相談を。 〈あなたは過敏性腸症候群(IBS)のどのタイプ? 効果的に治療を進めるポイントをチェック〉へ続く
水上 健(国立病院機構久里浜医療センター内視鏡部長・慶應義塾大学客員講師(IBS便秘外来))