卓球のTリーグは成功だったのか?
「世界ナンバー1の卓球リーグ」を目指し、2018年10月に開幕した「Tリーグ」(正式名称:ノジマTリーグ)が初年度シーズンを終えた。17日、東京・両国国技館で行われたプレーオフ・ファイナルでは、張本智和や水谷隼らスター選手を擁する木下マイスター東京(KM東京)が岡山リベッツを破り初代王者に、女子では平野美宇、早田ひなら10代の若手が主軸の日本生命レッドエルフ(日本生命)が、レギュラーシーズン首位の木下アビエル神奈川(KA神奈川)を下し初代女王に輝いた。 いずれも頂上決戦にふさわしい大激戦だった。特に女子はビクトリーマッチと呼ばれる、わずか1ゲームのサドンデスマッチで勝負が決着。これには詰めかけた5,035人の観客が大いに沸いた。ちなみに入場方式は男女入れ替え制で男子の入場者数は5,120人。男女の合計は1万155人だった。開幕戦の入場者数は男女合わせて1万196人(男子5,624人/女子4,572人)だったことから、これとほぼ同等、厳密に言えば若干割り込む形となった。 集客は開幕前からTリーグの大きな課題の一つと言われていた。レギュラーシーズン84試合に果たしてどれくらいの観客を呼べるか。北は北海道、南は沖縄まで会場が点在しており、地方での集客は読めなかった。そんな中、Tリーグの松下浩二チェアマンが掲げた目標は1試合平均2,000人。実際にシーズンが始まり蓋を開けてみると、1試合平均1,186人(総入場者数9万9,623人)と目標に届かなかった。 だがプレーオフ・ファイナルについては、「開幕戦の時は日本卓球協会や卓球関係の方にお声がけして動員をかけた部分もあったが、今回そういうことは何もしていない」と明かす松下チェアマン。純粋にTリーグの認知と人気が広まった証であると、数字には見えない集客力の向上をアピールした。 レギュラーシーズンの入場者数に目を向けると、会場の立地や対戦カードによる格差は否めない。平均入場者数に達したのは30試合あるが、そのほとんどに男子はKM東京、女子はKA神奈川が絡んでいる。KA神奈川には世界ランク4位で日本のエースの石川佳純がいる。やはり張本や水谷、石川といったスター選手は観客を呼べる。 Tリーグの集客力について選手たちの反応はどうか。リーグの顔として後期MVPと年間MVPに輝いた水谷は、「お客さんが多くても少なくても最高のプレーをお見せするだけ」と言うが、その一方でチームによる集客力の差を憂いてもいる。 打開策の一つとして水谷他、選手たちが熱望するのがチーム数の増加だ。水谷は「最低6チーム、できれば8チームに増やしてほしい」と要望を挙げ、石川も「今は4チームしかないので同じチームと3回に1回は試合をすることになる」と指摘する。 これを受けて松下チェアマンも「強い選手がベンチに座っているだけという試合が結構多くて、もったいない。今年中には新たな男女各2チームを発表し、3シーズン目(2020-2021シーズン)からの参戦を目指していきたい」と豪語する。ちなみに今シーズンのTリーグは男女各4チームによる7回戦の総当たりで行われた。