介護施設の宿直手当は「5000円」で大丈夫? 夜間に入居者の「急なお世話」も発生しがちなら、もっと賃金を払ってもらうことはできる? 具体的な“判断基準”を解説
労基署への申請・許可の手続きは厳格
「宿日直勤務」や「監視又は断続的労働」に該当するには、労働基準監督署に勤務状況等がわかる資料を添えて申請し、許可を得なければなりません。宿日直勤務の申請の場合、「勤務状況等の資料」は次のようなものです。 ・勤務のタイムスケジュール ・勤務シフト表(最低1ヶ月分) ・見回り業務があればルート図 宿日直回数も、原則として宿直業務は週1回、日直業務は月1回が限度という制限があります。 さらに、宿直・日直手当は、1人1日平均賃金額の3分の1以上が必要で、この算定資料も申請に添えなければなりません。業務内容が変更になった場合には、再度申請が必要になります。
宿直の手当に疑問があるときの対応
宿直の手当に疑問があれば、次のように確かめてみましょう。まず、労基署の許可があるかどうかです。許可がなければ「労働時間」「休憩」「休日」の規制はすべて適用されます。就業規則や労働契約でどのように定めていても、法の規定が優先されます。 また、深夜業の割増賃金は、労基署の許可有無にかかわらず支払われます。勤務の状況、宿直回数、手当の額なども確認しましょう。前記の厳格な要件をクリアする必要があります。 勤務先等に聞きづらいなら、労基署や厚生労働省の総合労働相談コーナー等の公的な相談機関に相談してみましょう。宿直について、少額の手当などだけで仕方がないと思い込まないでください。働く人を保護するために厳格なルールが定められています。 出典 e-Gov法令検索 労働基準法 厚生労働省 労働時間・休憩時間・休日の適用除外について(断続的労働・宿日直勤務) 厚生労働省 断続的な宿直又は日直勤務に従事する者の労働時間等に関する規定の適用除外許可申請について 厚生労働省 監視又は断続的労働に従事する者の労働時間等に関する規定の適用除外許可申請について 執筆者:玉上信明 社会保険労務士、健康経営エキスパートアドバイザー
ファイナンシャルフィールド編集部