【キャンパスと大学選び】「めっちゃ山の上にある」キャンパス、それでも…都心部の志願者を集める大学
最近の大学のキャンパス移転に共通する大きな特徴は、郊外のキャンパスから、大きな駅に近い都会の中のキャンパスへ移る「都心回帰」です。しかし、都会から大きく離れた地方にキャンパスがありながら、都心部の志願者を集め続ける大学があります。なぜなのでしょうか。キャンパスの立地だけでは語れない大学の魅力がポイントであることがわかります。 【写真】APU3年の田隅千晶さん。アジア太平洋学部で文化・社会・メディアを専攻している
不便でも魅力の多い郊外型
「関西を含めた首都圏以外の大学が東京で説明会を開いて、高校生が一番集まるのはこの2つの大学」と予備校幹部が言う大学があります。大分県別府市にある立命館アジア太平洋大学(APU)と、秋田市にある公立の国際教養大学です。 実際、APUの日本人学生のうち、関東(1都6県)の高校出身者は26.7%とほぼ4分の1(2024年5月1日現在)。出身都道府県別で最も多いのは、福岡県(385人)でも地元・大分県(282人)でもなく、断トツで東京都(473人)です。国際教養大学も、関東の出身者が30.0%(23年4月1日現在)。最も多いのは地元・秋田県(125人)ですが、東京都(98人)がそれに続きます。 関東出身比率は、APUの母体である立命館大学で5.4%(23年5月1日現在)、東京からの進学者が近年増えている京都大学が24年度入学者で17.0%なので、APUと国際教養大学が遠く離れた首都圏からいかに多くの志願者を集めているかがわかります。 APUは2000年、国際教養大学は04年に開学しました。APUでは世界109の国と地域からの学生がともに学び、学生も教員もほぼ半数が外国人、国際教養大学はすべての授業が英語で少人数で行われ、1年間の留学を義務づけるなど、グローバル教育が共通する特徴です。 別府湾を見下ろす標高300メートルの「天空」――APUのキャンパスを、在学生は親しみを込めてそう呼びます。 アジア太平洋学部 3年の田隅千晶(たすみ・ちあき)さんは、入学前は出身地の神戸市とはまったく異なるキャンパスの周辺環境に不安を感じました。しかし、その環境が徐々に心地よいものに変わっていき、現在はオープンキャンパスの企画・運営に携わるなど、「APUが大好き」と語るまでになりました。田隅さんにこの間の変化を聞きました。