カルピスのブランド担当者が語る知られざる「カルピス菌」のヒミツ
「カルピスウォーター」 がなかなか出せなかった理由
「カルピス」といえば、水玉の包装紙をイメージするという声もよく耳にします。今も「カルピス」製品のパッケージには必ず水玉が使われています。しかし、発売当初はまったく違うデザインでした。 水玉の包装紙が巻かれたのは、発売の約3年後からです。発売日の七夕にちなんで天の川をイメージしたものでしたが、当初は青地に白の水玉でした。戦後、より爽やかさを伝えるデザインとして、白地に青い水玉になりました。 希釈の「カルピス」は瓶で始まり、'90年代の紙パックを経て、今はプラスチック容器になっています。乳は光にとても弱く、「カルピス」のおいしさを守るために光も酸素も通しにくい4層構造のプラスチックを用いています。 小さなお子さんのいるご家庭では、希釈が人気です。濃度を調整できますし、牛乳を飲んでもらうために「カルピス」を少し入れるという声もよく聞きます。 また、子どもの頃からずっと家で飲んでいただいているという方も少なくありません。牛乳に入れたり、ホットで飲まれたり。料理の隠し味に使われているご家庭も多いです。 もともと「カルピス」が好きだったことが入社動機です。最初は研究に携わっていましたが、中味だけでなくトータルに自分で商品を手掛けてみたいとマーケティング部に異動願いを出しました。研究員時代に、中小企業診断士の資格も取得しました。 希釈の人気もある中で、'73年には「カルピスソーダ」、'91年には「カルピスウォーター」が発売になり、大ヒットしました。 かつて飲み物は家で飲むものでした。ところが自販機が出てきたり、コンビニができたり、という中で、外で買って外で飲むものになった。そうしたニーズに応えていくところから開発が進んだんですが、実は「カルピスソーダ」も「カルピスウォーター」も、「カルピス」を単に希釈しているわけではありません。 乳タンパクが沈み、分離してしまうからです。分離しない技術を作るのに、大変な時間がかかりました。 「カルピスソーダ」が先に出たのは、外で飲むのに炭酸ですっきりした方がいいという考えもあったんですが、炭酸のほうが先に分離しいくい技術を確立できたからです。そこから「カルピスウォーター」の発売まで18年かかっています。とても難しい技術だったんです。 ただ、やはり商品としては画期的で、爆発的なヒットがいかにすごいものだったか、よく先輩たちからも聞きます。