新車販売で大異変! ホンダ・N-BOX王座陥落のワケ
一方、スズキの開発コンセプトは"日常をもっと楽しく便利に快適に!"。開発責任者の鈴木猛介氏はこう言った。 「先代モデルからの課題だったのが、スーパーなどで購入した荷物をどこに置くのか問題。調べてみると、主に後席の足元派と後席の座面派に分かれるのですが、実は足元派も座面に置きたいのが本音でした。しかし、滑り落ちる可能性があるため、仕方なく足元に置いていたのです」 そこで誕生したのがマルチユースフラップ。後席の座面前端のフラップの位置や角度を調整することで荷物の落下防止はもちろん、オットマンなどとしても活用できるようにした。ちなみにスペーシアのメインユーザーも子育て世代である。 「ユーザーの皆さんの話を聞いていると、コロナの影響やレジ袋の有料化でコンビニ弁当を車内にそのまま持ち込むケースが増えていた。そこで、助手席前のダッシュボードにコンビニのざるそばを置け、なおかつ滑り落ちないよう工夫しました。ざるそばはコンビニ各社の最大サイズで、ざるそばが置ければ大半のコンビニ弁当が置けるんです」 鈴木氏はそう胸を張った。 ■ガソリン車より安いスズキのハイブリッド ホンダ関係者はN-BOXの現状についてこう語る。 「販売店からは、『3代目は顔が地味すぎる』『先代と比較して内装の質感が下がった』『なぜハイブリッドを用意しないのか?』という不満の声が届いている。N-BOXは国内販売の大黒柱だから冗談抜きに頭が痛い」 ちなみにホンダは2030年に軽をEV化するため、ハイブリッドやマイルドハイブリッドの投入の予定はない。ホンダの販売店関係者は苦い顔でこう言う。 「N-BOXにはガソリン車しかないとお伝えすると、商談が一気に冷え込むケースも」 ちなみにN-BOX(カスタム含む)の価格は164万8900~236万2800円。スペーシア(カスタム含む)の価格は153万100~219万3400円で全車マイルドハイブリッド。燃費はクラストップの25.1㎞/L(WLTCモード)を誇る。 「実はガソリン車のN-BOXよりも、マイルドハイブリッドを搭載するスペーシアのほうが価格が安い。しかも軽なのにグレードによってはハンドルヒーターまでつく」(前出・自動車誌幹部) 話が長くなったが、今回の首位交代のワケはダイハツの自爆による棚ボタでも、N-BOXの自滅でもない。日本市場と真摯に向き合い開発してきたスペーシアが消費者に高く評価されたという話である。 つまり、スズキが実力で勝ち取った首位だ。ちなみにスズキが総合トップに立つのは9年5ヵ月ぶり。前回の首位は5代目ワゴンRだった。