センバツ2024 京都外大西、京都国際 挑む(その1) /京都
府内から2校が5年ぶりに選出された――。大阪市内で26日にあった第96回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催、朝日新聞社後援、阪神甲子園球場特別協力)の選考委員会で、京都外大西(京都市右京区)と京都国際(同市東山区)の出場が決定した。京都外大西は2023年の秋季府大会で優勝し、近畿地区大会で準優勝したことなどが高く評価され、18年ぶり7回目の出場。3年ぶり2回目の出場となる京都国際は府大会準優勝、近畿大会ベスト4の成績を収めて順当に選出された。「春」をつかんだ両校は喜びをかみしめ、ともに初となる全国制覇を目指し3月18日に阪神甲子園球場(兵庫県西宮市)で開幕する大会に臨む。組み合わせ抽選会は同8日にある。【水谷怜央那】 【写真で見る歓喜の瞬間】歴代のセンバツ覇者たち ◆京都外大西 ◇旋風起こす「大暴れ」 京都外大西の選手たちは、一般生徒や保護者らとともに森田記念講堂(京都市右京区)に集まり、大画面に映し出された選考委員会の様子を見つめた。 近畿地区の発表で2校目に京都外大西の校名が読み上げられると、選手らはほっとした様子。周囲から大きな拍手がわき起こり、会場全体でナインを祝福した。 出場する全32校の発表が終わると、上羽功晃監督と乾光葵(みつき)主将(2年)、田中遥音投手(2年)が登壇。乾主将は「正直、ここまでの道のりは長かった」と振り返った。「選ばれるとは思っていたが、近畿地区の発表が近づくにつれて、すごく緊張した。名前が呼ばれて、ほっとした」と明かし、顔をほころばせた。 18年ぶりのセンバツ出場となる上羽監督は「名前を呼ばれ、『ほんまにセンバツに出られるんやな、本当に長かった』と思った。なんとか甲子園で大暴れしたい」と健闘を誓った。また、自身が好きだという校歌の4番を歌い出し、周囲の笑いを誘った。「外大西が強い時代は、生徒みんなが校歌を歌えた。みんなでアルプススタンドで校歌を歌いたい」と大舞台での活躍を見据えた。 近畿大会では決勝を除く全試合で先発し、チームを引っ張った田中投手は、福岡ソフトバンクホークスの前田悠伍投手の大ファンで「前田マニア」を自称する。大会を見据えて「試合を見た人が自分にあこがれて『田中マニア』になってくれるよう、甲子園で活躍したい」。 試合を重ねるごとに成長し、出場を勝ち取ったナイン。センバツの目標について問われた乾主将は「目の前の試合に集中して近畿大会を戦った結果が準優勝だった。甲子園でも一つ一つ勝っていきたい」と話し、気を引き締めた。【水谷怜央那】 ◆京都国際 ◇「100%」を見せてやる 京都市東山区の京都国際では、校内に設置されたモニター画面で選考委員会のインターネット中継を朴慶洙(パクキョンス)校長ら学校関係者や授業を終えた一般の生徒が見守った。 午後4時、近畿地区で3番目の出場校として校名が発表されると、一瞬の間をおいて、拍手がわき起こり、関係者には安堵(あんど)と喜びの表情が広がった。 朴校長はすぐに、校舎に隣接する練習グラウンドへ急ぎ、半円形に取り囲んで集まった全選手に向かって「甲子園、センバツ出場おめでとう。がんばってください」と出場決定を告げ、激励。選手たちは中崎琉生主将(2年)の音頭で「甲子園行くぞ。おー」と気勢を上げ、2022年夏以来となる全国の舞台へ思いをはせた。 昨秋の公式戦で10試合中7試合を完投した左腕エースで、近畿大会の1回戦、準々決勝を1点差で勝ち抜く原動力にもなった中崎主将は「出場が決まってほっとした。守備からリズムを作って1点ずつ取っていくのが今年の京都国際の野球。目標の日本一を目指して課題を一つずつ克服していきたい。昨秋は選手個々の能力だけで戦っていたので、まだチームの完成度は50%ぐらい。センバツに向けてチーム力を磨いていきたい」と意気込んだ。 選手たちの喜びの様子を遠目に見守っていた小牧憲継監督はまず、出場校に選出されながら大会直前にチームが新型コロナウイルス禍に見舞われて出場辞退を余儀なくされた22年のセンバツについて触れ、「今回はあの時の選手たちの無念さも背負って戦いたい」と決意を語った。その上で「守備型のチームだが、この冬は、打力の強化を最も重視し、選手の筋肉量を増やして徹底的に打ち込んできた。2番手投手も競争させながら育てていきたい」と話し、チーム力の充実を期待していた。【矢倉健次、千金良航太郎】 ◇載ってる!湧く闘志 両校に号外 出場が決まった直後、京都外大西と京都国際の両校で毎日新聞の特別号外が配られた。選手たちだけでなく、学校に集まった保護者らも紙面を手に甲子園出場決定を喜んだ。 京都外大西の北岡祐真選手(2年)の妹で小学2年、芽依さん(8)は「にいに(兄)が載ってる! 甲子園へ応援に行きたい」と笑顔を見せた。兵庫県尼崎市から駆けつけた母ゆう子さんは「普段は寮生活をして会えないので、号外で活躍を知ることができてうれしい。甲子園でも頑張って」とエールを送った。【前本麻有】 〔京都版〕