はやぶさ2、7月11日に2回目の着地へ JAXA会見(全文1)科学的意義が高い
非常に魅力的な物質が人工クレーター付近にあるのは間違いない
津田:それでは判断に至った経緯と、これからの計画について津田のほうからご説明させていただきます。資料はその次のページの12ページからになります。それで、タッチダウンの実施可否をまず「はやぶさ2」プロジェクトとしてこれまでの実績、それから「はやぶさ2」の現状の性能、それからやろうとしていることの意義等踏まえて評価したというところです。この12ページに書かれている表は、われわれが判断した観点でして、上3つについては理学的な、あるいは工学的な価値ですね。この2回目のタッチダウンを行うことの価値になります。 これはなんといっても人工クレーターがかなりの大きさのものができたということと、そこから、その付近には地下物質ですね、イジェクタが十分堆積していると。非常に魅力的な物質が人工クレーターの近くにあるということは間違いないということです。 それから、それを採取できることについてはもちろんサイエンス、サイエンティフィックな価値は十分あります。これは地下物質を採取するという意味もありますし、それから複数地点ですね、タッチダウン1回目でL08E1、「たまてばこ」という場所からサンプリングしましたけど、それに加えて同じ天体の複数の場所から物質を採取するマルチサンプリング、この観点でも意義が高いということです。いずれもこれ、地下物質、マルチサンプリングとも世界初の試みになります。これは理学的のみならず工学的にも十分価値のあることだというふうに評価しております。 それから、価値はそうだとして、では十分安全に実施できるのかという運用成立性の観点です。主要な観点は3つございまして、1点目はタッチダウンに必要な地形情報が得られるかどうかです。これについては、これまでにこの着陸地点付近は3回降下しています。PPTD-TM1、TM1A、TM1Bという3回降下しています。そのうちTM1はアボートしましたけども、結果として今回着陸しようとしている地点の詳細情報を得ることができた。 それに基づいてTM1Aではターゲットマーカを下ろすというような一連の作業をやってきまして、地形については十分な精度でデータが取れておりまして、それに基づいて3次元の地形情報、それから石、岩の分布ですね、ボルダーの分布を今は把握できている状態です。