金利が上がると賃貸住宅の家賃も増えるって本当?住宅のプロがくわしく解説
家賃の値上げによりオーナーにもリスクが?
家賃の値上げは入居者(借主)の経済的負担が増えることになるので、賃貸住宅のオーナー側からみると入居者が退去して空室率の上昇に繋がってしまう恐れがあります。 特に現状では賃金の上昇が遅れている傾向にあるので、家賃の値上げによって賃金と比較してどうしても割高感が出てしまい、入居者離れを引き起こす可能性があるでしょう。 この場合にはたとえ一室あたりの収入を増やすことができたとしても、建物全体的な収入が減ってしまうことにもなりかねません。 また家賃滞納のリスクが上昇し、最悪のケースでは入居者が夜逃げしてしまう可能性が生じます。 夜逃げが発生すれば退去者が残していった家財の撤去や処分にもコストがかかってしまうので、貸主の負担はさらに増えることになります。 したがって家賃を値上げする際には、値上げの時期を慎重に検討することが求められます。
近い将来には賃貸住宅の家賃が上昇する可能性が高い
前述した理由から家賃の値上げは経済の変動(景気の変動)に遅れて発生する傾向があるので、賃貸住宅オーナーにとっては当面の経営状態は悪化する可能性が否定できません。 しかし日銀が「金利を上げる」という政策をとるのは、経済の循環が好転している状況にあるといえます。 賃金上昇が徐々に顕著になってくれば、少し遅れて家賃を値上げできる可能性が高いといえるでしょう。 オーナーにとっては金利の上昇は利息が増えてしまうのでマイナス要因ですが、賃料が増額できれば利息増額分を相殺することができます。
まとめにかえて
金利の上昇は不動産市場に大きな影響を与える可能性があります。 金利の上昇により新たな賃貸物件の供給が減少すれば、既存の賃貸物件の家賃へも少なからず影響を与えることでしょう。 そしてオーナーが家賃の見直しや契約条件の変更などを求めるようになれば、入居者の契約期間終了後の更新が難しくなってしまうこともあります。 したがって金利の上昇は単にオーナーのローン返済額に影響を与えるだけでなく、賃貸住宅に住んでいる人々の家計にも大きな影響を及ぼす可能性があるといえます。
参考資料
・日本銀行「(参考)2024年7月金融政策決定会合での決定内容」 ・住宅金融支援機構「住宅ローン利用者の実態調査【住宅ローン利用者調査(2023年4月調査)】」
亀田 融