金利が上がると賃貸住宅の家賃も増えるって本当?住宅のプロがくわしく解説
日本銀行(日銀)は、年4回の金融政策決定会合において、先行きの経済・物価の見通しや上振れ・下振れの要因を詳しく点検し、金融政策運営の考え方を整理した「経済・物価情勢の展望」を決定して公表しています。 ◆【写真2枚】金利引き上げが家賃に及ぼす影響とは そして2024年7月31日までの金融政策決定会合で、政策金利を0.25%程度に引き上げる利上げを決めました。 政策金利とは、日本銀行など各国の中央銀行が景気や物価の安定などの金融政策上の目的を達成するために使用する短期金利(誘導目的金利)で、中央銀行が一般の銀行に貸し付ける際の金利のことです。 したがって政策金利の変更は、金融機関の預金金利や貸出金利などに影響を及ぼします。 政策金利の引き上げが行われると、一般的に企業や個人が借り入れをする際に支払う利息が増加するため借り入れや支出に対して消極的になるので、消費よりも貯蓄のメリットが高まります。 そして利上げによって消費が抑制されれば、商品が供給過剰になって物価が下がる傾向があります。 しかし日銀の調査では、幅広い地域、業種、企業規模で賃上げの動きが広まっていることが確認でき、今後もこうした動きが進むことが見込まれるため、賃金と所得の増加が個人消費を支えていくと判断しているようです。 ※編集部注:外部配信先ではハイパーリンクや図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
金利上昇が賃貸住宅の家賃に影響を及ぼす?
金利の上昇は、賃貸住宅の家賃にも影響を及ぼすといわれています。 家賃の値上げは法律によって認められた賃貸住宅オーナーの権利ですが、値上げするためには正当な理由が求められます。 正当な理由がないまま家賃の値上げを行った場合には、借主からの訴訟にまで発展する恐れがあり、不当な値上げと判断されてしまうことがあります。 一方、物価や人件費の上昇などは賃貸住宅経営にかかるコスト増加を引き起こしてオーナーの経営を圧迫する恐れがあるため、家賃を引き上げるための正当な理由として認められています。 そして賃貸住宅を建てる際には、多くの方が金融機関から融資を受けています。 融資を受ける際の金利には、主に変動金利、固定金利、一定期間固定金利がありますが、史上最低水準の低金利であった近年では多くの方が変動金利を選択しています。 今回の日銀の決定により政策金利が上がれば、借入における変動金利が上昇する可能性があります。 したがって賃貸住宅の貸主である大家さんが変動金利のローンを利用して賃貸住宅を建てている場合には、金利が上がれば支払うべきローンの総額も上がってしまうので、これも家賃が上がる正当な理由になります。 さらに金利が上昇すれば不動産投資のメリットが減少してしまうので、新たな賃貸物件の供給が減ってしまう可能性もあります。 それに伴い賃貸物件の選択肢が少なくなるので、賃料の引き上げにつながる可能性があるといえるでしょう。 しかし入居者がこれを受け入れてくれない場合には、オーナーにさまざまなリスクがあります。