大島、念願の一般選考で8年ぶり2回目の出場 選抜高校野球
奄美大島に再び歓喜の声が沸いた。第94回選抜高校野球大会の選考委員会が28日、オンラインで開かれた。県立の大島(鹿児島)が2014年に21世紀枠で春夏通じて奄美群島から初の甲子園出場を果たして以来、8年ぶり通算2回目の出場が決まった。 【あのドラ1も】昨年センバツからプロの扉開いた選手たち 学校がある奄美大島は鹿児島市から南西へ約380キロ。対外試合もままならないが、現在のチームは島に有望選手が残り、左腕エース・大野稼頭央(かずお)投手(2年)を中心とした粘り強い野球で21年秋の九州大会で準優勝。今回は念願の一般選考による甲子園切符を手にした。 大野は21年秋の鹿児島大会から九州大会準々決勝まですべて一人で投げ抜いた。九州大会は大分舞鶴との1回戦が引き分け再試合となり2日連投。計19回で28三振を奪い、再試合は3―2で勝利。中1日の興南(沖縄)との準々決勝は奪三振は二つながら3―0で完封した。最速146キロの球威で押すことも、変化球を駆使して打たせて取ることもできる万能型の「鉄腕」だ。 チームの身上は粘りだ。離島勢で初優勝となった鹿児島大会は4度のサヨナラ勝ち。「1週間で500球以内」の球数制限で残り33球となった大野が登板しなかった有田工(佐賀)との九州大会準決勝は2番手で登板した主将の武田涼雅(りょうが、2年)が踏ん張って5点差から逆転勝ちした。 地元で「ダイコウ」と呼ばれて親しまれる大島だが、有望な中学生は本土へ進学するケースが多く、大野も強豪校から誘われた。だが、捕手の西田心太朗(2年)らに熱心に口説かれて、「どこにいっても目指す場所(甲子園)は一緒。島のみんなと行けた方が達成感も違うと思ってダイコウを選んだ」と生まれ育った島に残った。 大野は「目標は出場ではなくて、勝ちきること」と語る。悲願の甲子園初勝利に向け、小学生の時にアルプス席で応援した憧れのマウンドに立つ。【吉見裕都】 ◇サイトでライブ中継 公式サイト「センバツLIVE!」で、28日午後3時からの出場校発表をライブ配信します。「スポーツナビ」でも中継を展開。デジタル紙面では32校の出場決定号外をご覧いただけます。