PTAを苦しめる「昭和の義務」 著者3人が背景と解決策を徹底解説
大塚 恐ろしいですよね。法律があるわけでもないのに、日本中のPTAがこれだけ似たようなことをやってきたのって、相当不自然なことではないですか。 山本 多くのPTAに存在する委員会制度も、戦後に文部省が作った参考規約に明記されていました。ただ近年はPTA運営の理不尽さに気づいて、変わってきたところもあります。 大塚 PTAは任意ということが知られてきたのに加え、おかしいことには声を上げていいという文化も広がってきたからでしょうか。でも、すごく地域差があります。変化が進んだPTAと、昭和のままのPTAと、同時代のはずなのに30年レベルのタイムラグを感じることもあります。 岡田 地方の人と話すと、PTAに関する「常識」が違います。「PTA会長は校長先生のお気に入りだよね。市議会議員を目指しているんだから」とか。僕の地域じゃ全然そんなことはないんだけどね(笑)。 ◇PTAの未来は 山本 新型コロナウイルスの影響で、PTA活動がなかった時期もありました。 大塚 3年間活動が止まったけれど特に問題はなかったよね、という感覚がみんなに共有されたので、変化や縮小が後押しされましたね。もともと役員や委員のなり手がいなかったPTAは、ますますなり手が減った。それはそれで、ひっそり続けていけばいいと思うんですけれど、昔の記憶が残っている役員たちは焦ります。このままではPTAがなくなってしまうと思って怖くなる。なかには昔の強制力の強いPTAに戻そうという動きも出てくるでしょうが、踏みとどまってほしいです。 岡田 PTAに人が集まらなくて苦しければ、一度やめればいいんです。苦しい顔をしてまでやる必要はない。人間は幸福のために生きているんだから。まずは、大人も子どもも楽しめるイベントをやって、楽しい時間を共有する中で新しいPTAのあり方を模索していけばいい。PTA役員は役職ではなく、メディア。つまり、〈私〉を通じて人をつなげ、〈私〉を通じて取り組みを発信していく。役員じゃない、メディアだよと自分に言い聞かせると気分は軽くなります。