PTAを苦しめる「昭和の義務」 著者3人が背景と解決策を徹底解説
大塚 もっとPTAは緩くなってほしいし、たぶんそうなっていくと思います。実際、10年前には考えられなかったような事例も見かけるようになりました。保護者の加入率2%のPTAとか、会員制をやめて保護者に活動を呼びかけるだけのところとか、会費ゼロのところとか。PTAから先生を外して保護者だけにする会もありますね。 山本 ホームページやSNSの発信を通して、いろいろなPTAの形が共有できるようになりました。いいなと思った事例は真似(まね)をして、自分たち流に磨けばいい。地域を越えた交流もでてきましたよね。 岡田 結構あります。オンラインでミーティングするのが一般的になり、北海道から沖縄までPTAに関わる友達ができました。交流する中で強く思うのは、社会の中から絶対に失われちゃいけないものは何か。それを守るために大人の工夫をするんだと。その大人の工夫を僕は政治と呼んでいます。「あなたが一番守りたいもの何ですか?」って質問し続けるんですよ。 ◇「何のためのPTA?」に立ち返る 大塚 私のPTA取材の出発点は、主に母親たちが負っている義務や負担をなくしたいというところなので、「大切なものを守りたい」という岡田さんと比べるとネガティブかもしれない。PTA活動で犠牲を強いられたり、泣く人が出たりしないようにするためにどうすればいいか。そこを考えながらPTA改革を実践する人たちの取材を続け、発信してきました。 岡田 一人一人の力をなるべく引き出せるような協力のシステムこそ「民主主義」です。多数決で決めるという意味じゃないですよ。一人じゃできないことを協力してできる、人間の力を発見する技法だと。それを民主主義と呼ぼうよって言っています。PTAはそのことを学べる場でもあります。 山本 運営に民意が反映されているかも大事ですよね。大塚さんに「PTAあるある」を10個挙げてもらいました。〝昭和の香り〟が残る事例の数々です。私も経験しましたが、仲間と協力すれば全部解消できます。