中日の立浪監督が攻守に精彩を欠くショート京田を試合中に「2軍落ち名古屋強制送還」した真の理由とは…背景に”星野イズム”
立浪監督は、京田の打撃については目をつぶるということを明言していた。打率が1割にも乗らずブレーキとなった4月6日のヤクルト戦後には「(京田の起用に関して)色んなことを思われる方はいると思うんですけど、今のうちのチームで143試合、ショートでずっと試合に出られる体力があるのは京田しかいない」と一部のファンのバッシングの標的にされていた京田を擁護していた。 だが、それも安定した守りがあってのこと。 「この間の甲子園もそうだが、あのへん(セカンドベース寄り)の打球に入っていけない。守備だけでもきちっとしてくれたら打てないのは別に8番だからいい。いいプレーもしているんですが、ちょっともう1回(2軍で)考え直した方がいいという判断」 4月27日の阪神戦でも京田は同じような守りのミスを犯して翌日はスタメンを外され、堂上がショートで起用されていた。 打てないから悩み、守りにも悪影響が出るという悪循環。肝心の守りにまでミスが出るようでは、京田を我慢起用する理由はなくなる。 立浪監督は、「あれだけ結果が出ないと、本人が一番苦しいんでしょうけど、出ている以上はそんなことは関係なし。こっちも気を使って何とかさせようとやってはいたが、もう戦う顔をしていないんで外しました」と、京田の姿勢を問題視した。 京田の惨状を見て、根尾をショートへ再コンバートさせるなどの対策をスタートさせているが、まだ1軍レベルの安心した守備力を身につけるまでには至っておらず、三ツ俣を代わりに昇格させるという。 ”懲罰交代”だけではなく、試合中に2軍落ちを告げ、そのままベンチにも残さず、名古屋へ強制送還する措置は、ハラスメントに注意深くなった最近の野球界では異例とも言える荒療治である。もちろんネット上では、試合中に名古屋へ帰した“昭和な措置“に「やり過ぎ」との批判の声もあるが、意外に支持派の意見が多数を占めた。そもそも、不振の京田を実力で追い抜くショートストップが出てきていないチーム事情にも問題がある。 立浪監督の過激な措置に重なるのは、師と仰ぐ故・星野仙一氏の指導法だ。 星野氏は、2度指揮を執った中日の監督時代だけでなく、阪神、楽天監督時代も、「2軍落ち→試合中の強制送還」という過激な措置をよく用いていた。 ただし、星野監督の2軍落ちには鉄則があって、ミスや結果を問題にするのではなく「勝負しない」「逃げた」「無気力」といった闘争心に欠く姿を見せた選手に対して厳罰措置を取った。 選手への愛情であり、戦う集団として、チームの規律と緊張感を保ち、選手に危機感を煽り、競争力を喚起するための一種のマネジメント手法だった。