「すごい」「ご自愛」スタンプで交流SNS 主婦の利用が7割 家事に育児、〝途方もない〟日々に肯定を
「がんばった自分を褒めてほしい」「暴言を吐かれてつらい」――。思いをSNSに投稿したいけど、なんとなく否定的な反応が不安になって、投稿できない……。そんなときにも安心して発信できるように設計された、新たなSNSプラットフォームが人気です。リリースから1年も経たずに1万ダウンロードされ、利用者の7割は主婦層とのこと。どんな思いでつくったのか、開発者に話を聞きました。(withnews編集部・金澤ひかり) 【マンガ】「助けて!ババキュア!」悩める主婦救う戦隊漫画に共感の嵐
メインは、スタンプで…「秩序作れる」
人気になっているのはコミュニケーションアプリ「いつでもおかえり」(いつおか)です。 株式会社「祭」(東京都)が開発し、現在、開発の中心となっているのは代表の清水舞子さんと野窪亮さんの二人です。 「いつおか」は、2023年末にリリースされた、誰でも利用することができるSNS。文章や画像などを自由に投稿できますが、既存のSNSと異なるのは、基本的には返信ができないということ。ユーザー同士のやりとりは、共感やねぎらいなどの思いが反映された「スタンプ」のみです。 スタンプは、拍手や力こぶ、食べ物の絵文字のほか、「ご自愛」「うんうん」「すごい」「よしよし」といった文言もあります。ただし、相手を否定するような文言のスタンプはありません。 アプリのリリース前には、互いに返信できる状態でのサービスを試作したものの、議論が分かれるテーマでは、「それぞれの正義と正義のぶつかり合いになり失敗した」経験もあるといいます。 一方で、試作段階も、現在のサービスも、「誰でも使える」という点は変わりません。 清水さんは、「SNS事業者の思いを反映したシステム次第で、秩序は作れると感じました」といいます。
「私はがんばっている」の確認に
清水さんが「否定されない場所をネット空間に作りたい」という思いでサービス開発に至ったのは、自身にうつ病の経験があったり、サービス開発に携わった人たちに障害のある人たちが多かったりしたことも影響しているそうです。 そんな人たちの「互助会」のような場を意識して制作しました。 サービスをリリースしてみると、利用者の7割は30~40代の主婦層だったといいます。 主婦層のユーザーの使われ方について、清水さんは「『自分たちはがんばっている』と確認するためにも使っているのではないか」と語ります。