新潟県佐渡市が促進する「二地域居住」と「長期滞在」、持続可能な誘客戦略へ、世界遺産「佐渡島の金山」をフックに
エアビーとの協業で二地域居住を訴求
「二地域居住」と「長期滞在」の取り組みを強化する一環として、佐渡市は8月8日に民泊エアビーアンドビー(Airbnb Japan)と連携協定を締結した。両者は、産業振興の基盤となる地域コミュニティの育成を通じて、「地域の活力向上と賑わいあふれるまちづくり」を目指す。 Airbnb Japan代表の田邉泰之氏は「長期滞在と二地域居住を推進している佐渡市に対して、ホストを中心とした体験型の暮らすような旅の提供で支援していく」と話し、今回の連携の意義を説明する。Airbnbは、これまでも地方自治体との連携を拡大させてきたが、二地域居住を念頭に置いた連携は今回が初めとなる。 今回の連携は、Airbnbパートナーズである地域創生事業コンサルティングの「グローカル」が佐渡市とさまざまな取り組みを進めていたことから実現したものだという。「現在150社を超えるAirbnbパートナーズと地元のプレイヤーとの橋渡しも進めていきたい」と田邉氏。佐渡市の課題の一つとなっている二次交通など周辺ビジネスの創出にも期待感を示した。 具体的には、Airbnbはまず2024年10月にも佐渡市内で空き家活用のセミナーを開催し、11月には、空き家の利活用・ワーケーションを活用した地域コミュニティづくりを始める。 田邊氏は「佐渡島は歴史、文化、自然、暮らしでも魅力的な発見ができる場所。今後、『佐渡島の金山』が世界遺産に登録されたことをきっかけに、来島者が増えるだろう。二地域居住や長期滞在には、その旅行者と地元との交流がカギになる」と強調する。 また、佐渡市の西牧氏も「地域のコミュニティづくりやインバウンド誘客でAirbnbとの連携の意味は大きい」と話し、Aibnbが持つ知見とノウハウの共有に期待をかける。 さらに、体験コンテンツの拡充でもAirbnbへの期待は大きい。Airbnbのブライアン・チェスキーCEOは2024年第2四半期決算の発表に合わせて、一時登録を停止していた「体験」の再開を明言。もっと手頃でAirbnbでしか発見できない体験を提供していく考えを示した。 2023年に初めてAirbnbゲストを迎えた日本の市町村の数は前年比10%増の約40市町村。「面白い宿泊体験があれば、ゲストは必ず訪れる」と田邊氏。佐渡島もそのポテンシャルは高いと続けた。 トラベルジャーナリスト 山田友樹
トラベルボイス編集部