波がなくても電気の力でサーフィン? 活気的な電動サーフボードが発表
春先になれば、いよいよサーフィンシーズンの開幕だ。オーストラリアのフライトボード社が、波のない海でも爽快に乗れる電動サーフボードを発表した。 【動画】電動サーフボードでサーフィンする様子 AMPボードの名で呼ばれるこの新製品は、ボード内部に電動モーターを搭載。ノーズ(ボード先端)に取り付けられた操作部のランチパッドからモーターを制御する。波に乗る前に必要なパドリング(水かき)動作を強力にサポートし、ほぼ波のない海での走行を実現する。 AMPボードが対応するのは、通常のサーフィンとは異なる「プローンフォイル」のスタイルだ。海面から数十センチほど浮いた状態で走行することから、魔法のじゅうたんにも例えられる爽快な浮遊感をもたらす。
加速から生まれた心地よいロングライド
フライトボード社が公開している動画では、実際にサーファーたちが静かな海面を快走している。ボードに腹ばいになったユーザーたちは、わずかなうねりの上を数回手でパドリングし、軽やかにテイクオフ。ボードの上に立つと同時に、ほぼ瞬時に空中へと持ち上がる。 海面上数十センチ、通常よりも高い視界を楽しみながら、サーファーたちは右へ左へとターンを決める。思い思いのラインを取りながら、海面上に白い軌跡を描いてゆく。 大波を捉えるのも醍醐味のひとつだが、電動サーフボードは従来では乗れなかったような繊細なうねりを捉え、どこまでも長く続くライドを実現してくれる。人気のマリンスポーツに、新たな楽しみ方が加わりそうだ。
水中翼船の原理で海面から持ち上がる
プローンフォイルのサーフボード自体は、これまでにも存在した。抵抗を減らし高速で駆ける、水中翼船の原理を応用したものだ。 一般的なサーフィンでは、サーフボードに腹ばいになり、手で海を掻くパドリングの動作で加速する。十分に高い波の到来に合わせ、ボードに立ってテイクオフとなる。 一方、AMPボードなどのプローンフォイルでは、ボードにモーターを搭載。電動で加速し、通常であれば適さない凪の海原やわずかな波でも爽快に乗りこなすことが可能となる。 こうしたボードは一般的なサーフィンで使われるショートボードに似た形状だが、マストと呼ばれる支持軸が直下に伸びている。その先の水面下では、飛行機の翼のようなウイングが水平に広がる。 加速するに従ってウイングに対して水中で揚力が働き、ボード本体が海面から持ち上がるしくみだ。ボード全体が水面に接する一般的なサーフィンと比べると、水との接触が少ない。 海面に突き出したジェットフォイル船が揺れにくいのと同じように、プローンフォイルも波の影響を受けにくい。このため、スムーズな独特の走行感を楽しむことができるとして人気を集めている。