「強制捜査に入りますが」記者に特殊詐欺電話か IP電話から「出頭」要請
先約の取材が一段落した午後、かかってきた番号に折り返してみたが、NTTドコモの「この電話番号が使われていない」とのメッセージが流れるだけだった。ドコモによると、同社の携帯電話から使われていない番号にかけたときに流れるガイダンスだという。相手側が番号を解約したのか、何らかの手口でこちらからの着信をブロックしているのかは判別できなかった。
長崎県警捜査2課に問い合わせると、記者に対する嫌疑はないと伝えられた。晴れて〝無実〟の身となり、正式な相談として受理してもらった。長崎県警をかたる詐欺電話が集中していることはないらしく、男がなぜ長崎県警を名乗ったのかも分からなかった。
■認知件数は過去最多
警察庁によると、令和5年の特殊詐欺の認知件数の確定値は前年比1468件増の1万9038件と直近10年間で最多を更新した。架空料金請求詐欺は、認知件数が2276件増の5198件で、被害額も38億6000万円増の140億4000万円と急増している。
総務省は特殊詐欺に使われると分かっていながらIP電話を提供する悪質な通信会社が存在するとして、事業者の認定を厳格化する方針だ。7年の通常国会での法改正を目指している。
■慌てず録音を
取材などを通じて、警察を身近に感じることのある記者でも、警察からの電話に一瞬身構えてしまい、録音することを失念してしまった。詐欺電話という確証が持てず「万が一、本物かもしれない」と動揺してしまったのだ。
スマホは通話中でも画面を操作でき、簡単に通話内容を録音できる。不審な電話がかかってきたときには、一端落ち着くためにも、端末を一度耳から話して、録音ボタンに手を伸ばすことをお勧めしたい。(高木克聡)