【“管理職の今”がわかるキーワード】管理職をケアする企業や社会の取り組みとは
本来は喜んでいいはずの“昇進”。なのに、管理職になるのを嫌がる人がここまで多いのはなぜなのか。『罰ゲーム化する管理職 バグだらけの職場の修正法』の著者が、その原因や有効な対策を詳しく解説! 今回は、管理職分業、クロスカンパニーメンタリング、リーダーシップ幻想などのキーワードから“管理職の今”を読み解きます。 “管理職の今”がわかるキーワード(画像) ◆お話を伺ったのは パーソル総合研究所 小林祐児さん NHK放送文化研究所、総合マーケティングリサーチファームを経て現職。労働・組織・雇用に関する多様なテーマを研究。著書に『罰ゲーム化する管理職 バグだらけの職場の修正法』(集英社インターナショナル)など。
【対策1】管理職候補の早期選抜 「優秀な人材の流出や昇進意欲の低下を防ぐために有効なのが、管理職候補を早い段階で選抜し、エリート意識を持たせる育成方法。入社後5年も見ていればデキる部下とデキない部下の差は歴然です。優秀な人ほど自分の能力を自覚し、年功序列の平等な昇進を待ち続けるのは馬鹿馬鹿しいと感じて転職してしまう。特に女性には、出産などを経て出世をあきらめてしまう前に昇進の可能性を伝えることが重要。ダイキン工業はこの方法を実践し、女性の管理職が増えました」
【対策2】管理職分業 「管理職業務の分業制をいち早く取り入れた日揮グループは、マネジメントを担っていた部長と部長代行のうち、部長代行職を廃止。代わりに“CDM(キャリアデベロップメントマネージャー)”と“PCM(プロジェクトコーディネーションマネージャー)”というポジションを創設し三位一体で分担する体制に変更しました。管理職からは『業務が明確になった』、部下からは『相談がしやすくなった』などの声が上がり、ポジティブな変化があるそう。管理職の負担を減らすための解決策として注目されています」
【対策3】クロスカンパニーメンタリング 「女性の昇進意欲やリーダーシップの向上を目的として、経済産業省が推進している、他企業同士の組み合わせで行う企業横断型メンタリングプログラム。実践する大手企業の報告では、参加者の多くが意欲の向上を実感するなど、効果がてきめんに表れていました。最大のメリットは、他社と意見交換することで、自社のよいところを認識できるようになること。また、こういったプログラムに選ばれる=自分は期待されているんだ!と、モチベーションもUPします」