元地検トップの性被害訴える女性検事の今 当事者になって知った性被害の本当の恐ろしさ「検事の鎧」で戦う
■認識を二転三転させ、裁判で争う姿勢を見せる北川被告
一方で、北川被告は、事件に対する認識を二転三転させています。 事件の1年後に、定年を待たずに退官する際には直筆の文書では…。 【北川被告が女性検事に宛てた直筆文書の内容】「事件までは尊敬の対象であった私からの加害行為であり、そのこと自体、赤の他人よりも大きなショックを受けていると思っています。全部私の責任です。本当にごめんなさい」 “加害行為”と認め謝罪するも、逮捕されたときには容疑を否認。 裁判が始まると、公開の法廷で今度は「争わない」と述べました。 【北川被告(初公判での罪状認否)】「公訴事実を認め、争いません」 しかし、初公判の後に、新たに選任された弁護人が会見を開き、北川被告は「同意があると思っていた」などと、一転して無罪を主張する方針を表明。 裁判は、同意の認識などを争点に進むとみられます。
■性犯罪被害者の気持ち「自分が被害を受けて実感した」女性検事
【浜田敬子さん】「元検事正という立場にも関わらず彼は『同意があると思っていた』ということを言ったわけですね。そういう(犯罪成立の構成)要件も当然、精通しているわけですよね」 【被害を訴える女性検事】「こんな元検事正までがそんなことを言うのだから、そういう(「同意があると思っていた」と)主張をすれば無罪が得られるんじゃないかと思う犯罪者もたくさんいるだろうし、逆に被害者はそういう主張をされたら無罪になるんだって思ったら、怖くて(被害を)言い出せなくなる」 「そういう悪影響をもたらすことを北川被告自身分かっているのに、それをしている罪深さっていうのを、本当に許せない気持ちです」 以前から性犯罪事件では特に被害者の心情に寄り添ってきたつもりの女性検事でしたが、その本当の恐ろしさを、身をもって知ったのです。 【被害を訴える女性検事】「私自身は、幼少期から性犯罪を含む被害に何度か遭ったことがあったのですけど、レイプされた被害者がどういう気持ちであったかとか、どういう気持ちで今いるのかとかは、まだ十分に分かっていなかったのだなということを、自分が被害を受けて実感しました」 「被害を受けている最中というのは、こんなにも何もできないし、最後に起きるのは迎合反応といって、『殺されないようにしたい』。被害を受けた後も証拠を保全しなきゃいけないということは、検事として分かっていても、全ての証拠を洗い流している状態ですから、そういう冷静な判断がつかない」