☆旧車スーパーカブ☆セミレストア仕上げで美しく!! CT110を走らせる!!
旋盤でブッシュを削り出してブラケットを補修
旋盤を使ってピボットボルトの太さに合わせた内径、ブラケットの穴サイズに合せた外径寸法の、削りだし鉄ブッシュを製作した。穴のサイズ差が少ないときは砲金ブッシュが良いが、こうなると太刀打ちできない穴径違いだ。油圧プレスを使って削りだしブッシュを押込もうと思ったが、大型万力を使って押込み&圧入できた。この後、溶接部分をリューターで削って、開先仕上げ(溶接する双方に面取り加工を施し溶接面積を稼ぐ作業加工)にした。バイクメーカーの溶接は、スポット溶接もしくはCO2半自動ミグ溶接仕様が多い。我がガレージでも大活躍しているのが、半自動ミグ溶接機だ。溶接することで圧入したブッシュを固定し、ブッシュを摺り合わせしながらサイドスタンドを締め付けられるようにした。ステップを万力に固定し、サイドスタンドのレイアウトを確認しながらマウントを溶接。これでしっかり固定できるようになるはずだ。 ────────── 【POINT】 ▶スーパーカブ×メンテの世界・長年乗り込まれてきたバイクは、通常修理の領域を超えた修理ケースが多々ある。何らかの理由で、サイドスタンドを改造、もしくは修理されていたのがこのCT110で、単純に分解して、ピボット部分にグリスアップするだけでは、思い通りの仕上がりにならないことがわかった。ここでは、サイドスタンド周りを強化するために溶接修理を実践 ────────── 「走れるように直して欲しい」と、バイク仲間から預かったホンダCT110国内モデル。「副変速機を持たないエンジン」を搭載しているのが、国内モデルの特徴でもある。副変速機の装備こそが「CT110の特徴」との声もあるが、現実的に、スーパーローモードで実用走行しているユーザーは数少ないと思うし、このシリーズデザインが気に入って購入所有しているユーザーも数多い。その証拠とも言えるのが、CT125ハンターカブの大成功だと思う。 そんな事情でCT110が我がガレージに仲間入りしてから、すでに数ヶ月は経過している。目視確認しつつ、不足部品や程度が悪い部品の収集を先行していたこれまでだった。ある程度の部品が揃ったら作業に取り掛かろうと、タイミングを見計らってきたが、いよいよ開始のタイミングになったので、車体は分解し、完全バラバラにした。そんな分解作業を行いながら、組み立て復元時にしっかりしていないと面倒なことになる、ステップやサイドスタンド回りの不具合を、先行修理することにした。 そもそもサイドスタンドを跳ね上げると、スタンドヒールがドライブチェーンに干渉していたのがこのCT110。これはなんだかヘン、ですよね?よくよく凝視すると、どうやら他モデル用でやや長めのサイドスタンドが取り付けられていた。しかもマウント部分には、溶接補修された痕跡もあった。どのような経緯で、そんな修理がなされたのかは不明ですが、この部分をまともに使える状況に修理しておかないと、後々、面倒なことになってしまうのは明らかだろう。 サイドスタンドは取り外し、リジッドステップバーの曲がりはパイプ(不要になったインナーチューブ)で曲げ修正した。次に、サイドスタンドのマウントをカットして、ガタガタのピボットボルト部分に、削り出しブッシュを圧入しつつ溶接固定した。さらにサイドスタンドのレイアウトを確認しながら、切り離したマウントブラケットをステップバーに再度溶接復元した。どうやら以前の修理は、鉄骨などを溶接する手棒溶接で行われていたが、メーカー純正と同じ半自動ミグ溶接機でブラケットをガッチリ、しっかり溶接固定することにした。あとは頑丈なペイントを施せば、車体部品を組み立て復元する際にも、スムーズに作業を進めることができるはずだ。 車体は分解して、部品単位ですべてを磨いてから組み立て復元すれば「そこそこ美しくなるだろう!?」と目論んでいたのだが、どうやらそんな考えは、通用しそうに無いほど、手ごわい相手となりそうなCT110でした……。
たぐちかつみ