「資さんうどん」買収の狙い、すかいらーくHD社長「業態転換先として魅力」…ガストなどと店舗面積近似
外食大手すかいらーくホールディングス(HD)が、今月買収した北九州発祥の「資さんうどん」の出店を加速する。3~5年以内に現在の約70店の3倍となる200店超に拡大して全国チェーン化し、「丸亀製麺」と「はなまるうどん」の讃岐うどんチェーン2強を、北九州のソウルフードと呼ばれる「資さん」が追う展開となる。すかいらーくHDの金谷実社長に「資さんうどん」の買収の狙いを聞いた。 【写真】全国チェーン化を目指す「資さんうどん」の店舗(31日、福岡市で)
――買収の経緯は。 「資さんがファンドの傘下に入って5年以上が経過し、具体的な話はなかったが、金融機関から『興味はないのか』などと聞かれていた。それであれば、(売却に向けた)情報がオープンになって競合が出るよりも先に動こうと、今年の春頃に我々からファンド側に声をかけた。ほかにも候補はあったようだが、結果として選んでもらえた」
――数多くある外食企業のなかで、なぜ資さんを選んだのか。 「店舗の業態転換先として魅力を感じたからだ。資さんの店舗の大きさは、我々が全国展開する『ガスト』などと同じ100坪(約330平方メートル)程度で転換を進めやすい」 「ガストは都市部の駅前などが好調で出店を続けているが、特に地方のロードサイドでは商圏人口が減り、近隣同士で自社競合が課題になってきている。東北地方では、近隣で競合するガストの1店をしゃぶしゃぶ店『しゃぶ葉』に変え、両方の売り上げが2割程度伸びた例もある。商圏人口10万人程度であれば、しゃぶ葉が出せる。ただ、それより小さいと難しい」 「資さんの場合は客単価が800円程度で、幅広い客層に受け入れられており、24時間営業もできる。小さい商圏でも強い。1店舗当たりの年商が2億円程度で、かなり人気のチェーンでもある」
――自社ブランドで展開する選択はなかったのか。 「自社でも低価格ブランドの開発は行っている。唐揚げ専門店の『から好し』や、そばの『八郎そば』などだが、なかなか何十店舗という規模には至っていない。しかし、(業態転換は)早く手を打たなければならない。資さんは十分にノウハウや実績がある会社で、買収で時間を買ったということだ」 「(資さんを保有していた)ファンド側も九州以外に関西に出店するなど、全国に店を広げていくタイミングだった。すかいらーくの物流や加工場など全国のインフラが有効活用でき、お互いがウィンウィンになれる案件だと判断した」