《追及レポート》何も知らない利用者が損をしている【火葬場のタブー】「キックバック」「割引利権」など”利権構造”うずまく不公平な因習の実態
「不公平だという意見も頂戴する」
火葬の現場で働くスタッフに、遺族が現金を手渡しする「心づけ」という慣習も存在する。 「最近は減っているようで、ある民間火葬業者ではこの『心づけ』が禁止されたと聞きました。社員のかたによれば、社内で罰則規定が設けられ、『心づけ』を受け取ると処分されるそうです。慣習的に給与の一部という認識でしたが、『心づけ』を廃止した分、給与体制も見直されたそうです」(前出・都内の葬儀社経営者) 一連の因習について、当事者たちはどう答えるのか。 全東葬連は女性セブンの取材にこう答えた。 「日本の古くからの商習慣として、キックバック、いわゆる“もどし”はたしかに存在します。ただし、それは本来、私たち葬祭業者が遺族に売るはずの『骨壺』を、火葬業者側が売っているから、その分の販売手数料をもらっているという認識です。 また、区民葬については長い年月をかけて組合が行政や火葬業者と話し合いを重ねてきた歴史があります。資質のある会社であれば、組合加入を拒否することはありませんし、加入せず区民葬だけ使わせろというのは承服できない」 23区内に9つある火葬場のうち6か所を運営する民間企業「東京博善」はこう回答した。 「古くからの習慣として、全東葬連系の組合に加入する葬儀社のかたがたとの商習慣が残っていることは事実です。また、実際に、それをご存じの、全東葬連系の組合外の葬儀社様からは不公平であるというご意見を頂戴することもございます。 (区民葬については)当社は、『特別区区民葬儀運営協議会』の主体ではなく、協議会からの要請を受け、自主的に協力させていただいている協力団体・協力事業者という立場です。従いまして、区民葬そのものに関する見解についてコメントすることは控えさせていただきます。なお、公的な補助は受けておらず、当社の費用負担でご協力させていただいております」 また、「心づけ」の廃止についてはこう回答した。 「火葬料金には透明性が求められます。古くから続いてきた『心づけ』の慣習は、火葬料金を不透明にしておりました。『心づけ』の廃止は、火葬料金の透明性を高める目的が1つ、また、実際に、ご喪家様に火葬料金プラスアルファの費用負担を強いてしまうことでもあり、実質的な火葬料金の低減として廃止しました」 前出の都議が声を大にして言う。 「都は特別区からの要請があれば、都営火葬場建設のために臨海部の土地を用意すると言っているが、区側が火葬場建設に積極的でない実態もある。都営火葬場の瑞江葬儀所も場所が遠く古いなどの理由で都民に敬遠されることがあるとのことで、抜本的な改革が必要なのは間違いないでしょう」 火葬場には、一面的には捉えられない根深い問題がある。不透明な因習から脱却し、公平な料金で私たちが最期を迎えられる体制を構築することが急務だ。 ※女性セブン2024年12月19日号