焼き鳥、立ち食い寿司、揚げ物…『ミシュラン2025』食のプロが「新規」「昇格」にこだわる納得の訳
「立ち食い寿司」「揚げ物」も登場した「ビブグルマン」
価格以上の満足感が得られる「ビブグルマン」では、13軒が新規店。フランス料理5軒、寿司2軒、イタリア料理1軒、日本料理1軒、とんかつ1軒、ラーメン3軒となっている。 「ヌガ」(1万円~)は多彩なフランス郷土料理をアラカルトで注文してシェアするスタイルで、ワインの品揃えも豊富だ。「立食い鮨 鮨川」(8000円~)は一貫からおこのみで注文できるので利用しやすく、「アウダチェ」(1万円~)は大テーブルにゲストが集い、楽しく過ごせるイタリアン。「をことて」(1万円~)はショートコースもあって柔軟性が高く、「Fry家」(8000円~)はコースで1種ずつ揚げたてのフライを味わえる。 ◆憧れの星付きレストランにも、「新規」「昇格」のドラマが…… 新規・昇格の「一つ星」は13軒あり、その内訳は、フランス料理5軒、日本料理3軒、イタリア料理1軒、焼鳥1軒、寿司1軒、現代料理1軒、クリエイティブ1軒。クリエイティブは新設された料理カテゴリーで、デザートレストランの「山」(2万円~)が該当する。 ザ・リッツ・カールトン東京の「エリタージュ バイ ケイ コバヤシ」(3万円~)は小林圭氏がプロデュースし、村島輝樹氏がシェフとして腕をふるう。日本のホテルレストランにしては珍しくジビエも提供されており、フランス文化へのリスペクトが窺える。 パリで一つ星をとった北村啓太氏の「アポテオーズ」(4万円~)は、素材を活かした軽やかなフレンチ。フランスの三つ星シェフマウロ・コラグレコ氏がプロデュースし、宮本悠平氏がヘッドシェフを務める「スィークル」(4万円~)では未知の食味を体験できる。郡司一磨氏の「ソーセ」(2万円~)はフランス語で「ソースをぬぐう」を意味し、パンでぬぐって食べたくなるソースが特長。 フランス料理が台頭しているが、日本料理も評判店が一つ星に加わっている。銀座から乃木坂に移った「割烹 室井」(5万円~)は“煮えばな”が上味で、シャンパーニュとブルゴーニュの品揃えも豊富だ。「東山無垢」(2万円~)の三島立己氏は機械メーカーから料理界へ転身したという異色の経歴をもち、“本鮪トロタクおはぎ”や“スッポンラーメン”をコースに入れるなど、一工夫を凝らした構成。 「ニつ星」に昇格したのは「天ぷら 元吉」(3万円~)。液体窒素を用いた“分子天ぷら”が評価されている。 そして、新しく「三つ星」に昇格したのが、フォーシーズンズホテル丸の内 東京の「セザン」(6万円~)だ。東京のホテルレストランで初めて三つ星になった。東京ではホテルレストランの評価に厳しい傾向があっただけに、快挙といえよう。ダニエル・カルバート氏がホテル総料理長を務めており、創造性と一貫性のある料理が魅力。ダニエル氏が’20年から現職に就任すると、2022年度版で一つ星、2023年度版でニつ星と駆け上り、遂に最高峰へ。今年のアジアのベストレストラン50でも見事1位に輝くなど、もはや世界有数のレストランだ。上海蟹と白トリュフという高級食材を見事にマッチさせた「上海蟹と白トリュフのコース」(10万1200円)など、革新的な料理から目が離せない。 『ミシュランガイド東京2025』掲載店は500軒を超える。どこに足を運ぶか悩んだら、新規や昇格といった勢いのある店をセレクトするのもお勧めだ。 文・写真:東龍 ’76年台湾生まれ。テレビ東京「TVチャンピオン」で’02年と’07年に優勝。ファインダイニングやホテルグルメを中心に、料理とスイーツ、お酒をこよなく愛する。炎上事件から美食やトレンド、食のあり方から飲食店の課題まで、独自の切り口で分かりやすい記事を執筆。審査員や講演、プロデュースやコンサルタントも多数。
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