シティ、行員に「冷静な対応」指示-NY本社入り口をデモ隊が封鎖
(ブルームバーグ): 米銀大手シティグループはニューヨーク本社を標的とした抗議デモに巻き込まれないよう、職員に呼びかけている。抗議活動の矛先が銀行の職員や幹部にも向けられている兆候が示された。
気候変動対策を訴える活動家らは6月上旬からシティ本部の正面入り口を封鎖している。ソーシャルメディアに投稿された動画には怒号が飛び交う騒動の中、活動家が逮捕される様子が収められている。ブルームバーグが確認した社内文書によれば、同行の安全対策チームは従業員に対処法を助言している。
「この騒ぎで耳にする言葉や目にする行動に気分を害しているのは私だけではないはずだ。しかし私たちは冷静を保たなくてはならない」とシティの企業サービス・公的対応責任者であるエド・スカイラー氏はこの文書の中で述べている。「デモ参加者との関わりを引き続き避け、抗議活動を良識ある対応で切り抜け、安全対策チームや警察からの指示に耳を傾けるようお願いする」とした。
シティグループの広報担当者はコメントを控えた。
活動家側によればシティ本社の外には毎日のように警官隊が配備され、これまでのところおよそ200人が逮捕された。物理的な暴力は避けると誓っているが、従業員がビルに入るのを物理的に阻止することが目標だとも言っている。
デモではイスラエルにおけるシティのプレゼンスも抗議の対象となってきた。
シティは2000年にイスラエルで完全な銀行免許を取得。国際的な銀行としては一番乗りを果たした。そのプレゼンスは同国における外国金融機関の中で最大だという。イスラエルが米政府からF35戦闘機を購入するための資金調達で、シティは中心的役割を果たしていると抗議者たちは主張している。
シティはクラスター爆弾や生物・化学・核兵器を購入するための「直接金融は提供しない」方針であり、ミサイルや戦闘機、装甲車、戦艦などの直接金融を依頼されることは「まれだ」と述べた。
イスラエルとイスラム組織ハマスの戦争に関与しているとして、世界中の銀行が抗議の標的になってきた。英国ではイングランドとスコットランドでバークレイズの15支店余りが、赤い塗料を吹き付けられ、窓ガラスを割られた。同行がイスラエルの軍事技術会社エルビット・システムズと「コーポレートバンキング」の関係にあると認めたことが、抗議活動のきっかけとなった。