これをしないと家族と最後のお別れすらできない…子供と離れて暮らす高齢者が今すぐやるべき「終活」とは
「終活」では何をしたらいいのか。日本総合研究所のシニアスペシャリスト、沢村香苗さんは「老後をひとりで過ごす可能性が高い人は、個人で『終活』を進めていく必要がある。まずはノートを用意し、自分に関する情報を整理することから始めるべきだ」という――。(第2回) 【図表】一般住民約2500人(50~84歳)の「終活」の準備状況 ※本稿は、沢村香苗『老後ひとり難民』(幻冬舎)の一部を再編集したものです。 ■「老後ひとり」の人が考えるべき「終活」項目8つ 高齢期に家族の助けが得られない「老後ひとり難民」は社会問題になりつつあります。 心身の衰えにともなう生活上のトラブルから死後の対応まで、その問題は多様で複雑です。 現在のところ、残念ながら「これさえやっておけばいい」という理想的な解決策はありません。 「老後ひとり難民リスク」が高い方や、自分の親など身のまわりにリスクが高い方がいる場合は、さまざまな公的機関や専門職、民間事業者のサポートの活用を検討しながら、現段階では個人で「終活」を進めていく必要があります。 私がこれまでの調査研究を踏まえて定義した終活分野は、次の8項目です。 ---------- (ア)日常生活に必要なこと(運転、掃除、買い物、食事の用意など) (イ)入院時の保証人・医師の説明の同席・つき添い (ウ)入院費、家賃、その他のお金の支払いの手続き (エ)介護保険サービス選びや契約の手続き (オ)延命治療に関する考えを医師などに伝えること (カ)亡くなったあとの葬儀やお墓の手配 (キ)亡くなったあとのペットの世話(譲渡するなども含む) (ク)亡くなったあとの財産の配分や家財の処分 ---------- ■9割の人は「老後準備」に何をしたらいいのかわかっていない 8項目について、日本総研が50~84歳の方約2500人を対象に準備状況を調査したデータが図表1です。 8項目について「具体的に頼んである」「おおまかに頼んである」「依頼はまだだが頼む相手は決めている」「頼む相手がいない・決めていない」のいずれかを選択してもらった結果ですが、「依頼はまだだが頼む相手は決めている」という回答が4割ほどを占める項目が多く、またすべての項目で「頼む相手がいない・決めていない」という回答が2~4割ほどという状況であることもわかります。 同調査では、「自分の病気や要介護・死亡時に周囲の人が手続きできるよう備えたい」かどうか、「備える場合に難しい点」は何かについても尋ねています。 調査結果からは、9割を超える人が「備えたい」と思っている一方で、そのタイミングや、すべきことがわからないと感じていることがうかがえます。