「男性の育休取得は100%、でもたった5日だけ…」家事と育児は結局、妻の役目? 家でぶらぶら「取るだけ育休」対策考える企業も
▽女性の長期育休による不利益 女性は育休期間が男性より大幅に長くなることで、さまざまな不利益を受ける。 自社の女性が直面している課題について企業113社に複数回答で尋ねたところ、最も多かったのが「復職後のキャリアアップの遅れ」で59%。さらに「復職後の勤務時間制限」が30%、「復職後の昇給の遅れ」が19%で続いた。 自由回答の記述を見ると、「復職時の不安感」(旭化成)や「家庭内の役割分担が女性に偏ってしまい復職後に影響」(日産自動車)といった声が出ている。 ▽「産後パパ育休」制度を新設 男性の育休取得は、家事・育児の負担を夫婦で分担することにつながり、女性の就業継続や第2子以降の出産意欲向上の狙いから推進されてきた。 育児休業は、育児・介護休業法に基づき、働く人が子どもを養育するために仕事を休む制度だ。期間は原則、子どもが1歳になるまでで、事情があれば最長2歳まで延長できる。男女ともに2回まで分割して取得が可能となっている。男性には、これとは別に子どもの出生後8週以内に最大4週間取得できる「産後パパ育休」の制度も新設された。
制度面で整備は進んだが、実際はまだまだだ。育休取得の促進に向け、江崎グリコは社外での出張講座を展開する。「母親の育児環境を良くするためには父親の育児参画を促すことが重要だ」と広報担当者。講座では実際にミルクをつくったり、赤ちゃんに見立てたペットボトルを使っておむつ替えを体験したりして、参加者に手を動かしてもらっているという。 ▽東京海上「学校教育でバイアス解消を」 アンケートに回答した企業のうち3社に、男性育休拡大に向けた取り組みを追加で取材した。他の企業でも参考になる施策が多い。 東京海上ホールディングス傘下の東京海上日動火災保険は、2022年度の男性社員の育休取得率100%超を達成したが、平均取得期間が5日未満だった。 今後の方針について「夫婦にとって最適なタイミングと日数の取得ができるよう支援する」と説明する。2023年度の直近の状況を見ると、5日以上取得する人数は増えてきているという。産後パパ育休制度の活用を積極的に案内し、取得日数の底上げに努めている。