7000人以上診察して見えた、「職場を腐らせる人」が狙う「弱い人のシンプルな特徴」
根性論を押しつける、相手を見下す、責任をなすりつける、足を引っ張る、人によって態度を変える、自己保身しか頭にない……どの職場にも必ずいるかれらはいったい何を考えているのか。5万部突破ベストセラー『職場を腐らせる人たち』では、これまで7000人以上診察してきた精神科医が豊富な臨床例から明かす。 【写真】知ったら全員驚愕…職場をダメにする人の「ヤバい実態」
ターゲットにされやすい人のその他の特徴
怖いのは、職場を腐らせる人はターゲットを嗅ぎ分ける嗅覚が非常に鋭いことだ。当然、誰でもターゲットにするわけではなく、格好の相手を探す。ターゲットにされやすいのは、弱くておとなしく、なかなか断れない人だけではない。次のような特徴が認められる人も狙われやすい。 (1)他人の話を真に受ける 他人の話を真に受けて信じやすい人は、よくいえば疑うことを知らず、素直で純真なのだろうが、その分カモになりやすい。その最大の原因は、相手の真意を見抜けない点にある。秘められた悪意を見破れないと、ターゲットにされるだろう。 (2)経験不足 職場を腐らせる人が心の奥底に秘めている悪意を見抜くには、ある程度場数を踏んで観察眼を養うしかない。そういう経験を積む機会がなかった人、あるいは痛い目を見たのに、その経験から学習しなかった人ほどターゲットにされやすい。 (3)何となくおかしいという直感に蓋 何となくおかしいという直感に蓋をする人も、狙われやすい。何となくおかしいと感じるのは、防衛本能が働いて警告サインを発するからなのだが、にもかかわらず、それを無視して「そんなはずはない」と否認しようとする。 これは主に二つの理由による。怠惰、そして目の前の現実に直面することへの恐怖である。自分では何もせずにいても、やがて状況が変わっておかしいとは感じなくなるだろうと勝手に期待している。これは幻想的願望充足以外の何物でもない。 また、誰かがあなたに悪意を抱いていることを認めたくない気持ちはよくわかる。だが、職場を腐らせる人はプライドが高く、自身を過大評価しており、承認欲求をこじらせていることが多いので、羨望や嫉妬を募らせやすい。だから、あなたに非がなくても、向こうが勝手に悪意を抱き、あなたの邪魔をしようと陰で画策することもある。そういう現実から目をそむけないようにしよう。 (4)他人を喜ばせたい願望が強い 他人を喜ばせたい願望が人一倍強い人は、相手が何を望んでいるのか、どうすれば相手が喜ぶのかを第一に考える。常に他者の欲望を満たそうとするのだから、職場を腐らせる人にとってこれほど都合のいい人間はいないだろう。上司に都合のいい部下として利用され、責任を押しつけられることも少なくない。 (5)自信がない 他者の欲望を満たそうとするのは、周囲から認められ、ほめられることによってしか自己確認できないからという見方もできる。もっと厳しい見方をすれば、自信がなく自己肯定感を持てないからこそ、認められ、ほめられることを人一倍希求するともいえる。そこに巧妙につけ込むのが職場を腐らせる人であり、自信がなく自己肯定感を持てない人ほどターゲットにされやすい。 (6)他力本願 他力本願の人もターゲットになりやすい。理由は簡単だ。職場を腐らせる人は口がうまく、エサで釣るのも得意なので、不満を募らせるだけで現状を改善するための努力を自分では何一つしない人に近づき、いろいろ吹き込んで、現状を好転させられるかのような幻想を与えるからである。 (7)波風を立てたくない 波風を立てたくない願望が人一倍強いと、理不尽な仕打ちを受けても、責任をなすりつけられても、自分で声をあげることも行動を起こすこともしない。こういう人は、職場を腐らせる人からすれば格好のターゲットで、「扱いやすい奴」と思われてますます理不尽な要求をされる恐れも十分考えられる。 (8)孤立している ある人がいかに毒をまき散らしているか、その言動がどれほど世間一般の常識から逸脱しているかに気づくには、やはり信頼できる誰かに相談する必要がある。相談相手から「それはひどい」「理不尽すぎる」といった感想が返ってきて、やっと気づくことも少なくない。裏返せば、相談できる相手がいなくて、孤立していると、なかなか気づきにくいということだ。 また、あなたが職場を腐らせる人に利用されたり、振り回されたりしていても、そのことを指摘する人も注意する人も周囲にいなければ、向こうのやりたい放題になりやすい。だからこそというべきか、孤立した状況に置かれている人を目ざとく見つけて、職場を腐らせる人は近づいてくる。 このうち三つ以上あてはまれば、職場を腐らせる人のターゲットにされる恐れがあるので、要注意だ。五つ以上あてはまれば、その可能性がかなり高いので、職場を腐らせる人の存在に早めに気づき、できる限り距離を置くようにすべきだろう。 つづく「どの会社にもいる「他人を見下し、自己保身に走る」職場を腐らせる人たちの正体」では、「最も多い悩みは職場の人間関係に関するもので、だいたい職場を腐らせる人がらみ」「職場を腐らせる人が一人でもいると、腐ったミカンと同様に職場全体に腐敗が広がっていく」という著者が問題をシャープに語る。
片田 珠美(精神科医)