「取得年にかかわらず普通免許で運転OK」な国産キャンピングカー 新型専用シャシーが登場・いすゞ「Travio」
【&M連載】キャンピングカーで行こう!
少し前までは「一部の輸入車のような、よほど大きな車でなければ、ほとんどのキャンピングカーは普通免許で運転できますよ」と言えたものですが、昨今は運転免許事情にも変更があり、少々複雑になってきました。そんな背景に合わせて業界にも変化が起きつつある、という話題です。 【画像】もっと写真を見る(2枚)
いつ普通免許を取ったかで運転できる車が違う
2000年代に入ってから、運転免許制度が二度ほど変更になりました。普通自動車運転免許(略して普通免許)をいつ取得したかで、運転できる車に違いが出るようになったのです。 いつ取った免許でも、乗車定員が10人以下であることに変わりはありません。問題は車両総重量のほうです。 車を重さで語られてもピンとこないかもしれません。 例えば2007(平成19)年6月2日から2017(平成29)年3月11日の間に普通免許を取った人なら、車両総重量5トン未満の車なら運転できます。これをキャンピングカーにあてはめると、 ・観光バスのような大型の輸入車 ・トヨタ・コースターや日産・ローザなど、マイクロバスベースのバスコン これら以外なら、ほぼすべてのキャンピングカーに乗ることができます。 しかし、2017(平成29)年3月12日以降に普通免許を取った人は、車両総重量3.5トン未満の車しか運転することはできません。これをキャンピングカーに当てはめると、 ・トヨタ・カムロードのディーゼル車(ガソリン車は3.5トン以下なのでOK) ・いすゞ・Be-cam これらをベースにしたキャブコンには乗ることができません。
いすゞ「ELFmio」をベースにした新たなベースシャシー登場!
前置きが長くなりました。 こうした背景を受けて、業界も対応に乗り出した=3.5トン未満のベースシャシーがデビューした、という話なのです。 11月16~17日、AICHI SKY EXPOではアウトドアイベント「FIELD STYLE」が開催されていました。そこに展示されていたのが、いすゞの新しいキャンピングカー専用シャシー「Travio」に架装を施した、まったく新しいキャンピングカーだったのです。 Travioのもとになっているのは、同社の小型トラック「ELFmio」です。そこに、キャンピングカー用の装備が追加されているのがTravioなのです。 その装備とは ・キャンピングカー専用のサスペンションを搭載(乗り心地の向上) ・リアスタビライザーの追加(柔らかいサスペンションに対応する安定性の向上) ・150A大型オルタネーター(サブバッテリーまで充電できるよう、発電機の大容量化) などです。 さらに ・エンジン……1.9Lのディーゼルエンジン ・ミッション……6速AT これらは、いすゞが海外市場で販売しているピックアップトラック「D-MAX」に使われているものと同じです。最高出力120PS、最大トルク32.6kgf・mと、パワーも十分期待できます。 さらに、プリクラッシュブレーキ、ふらつき警報、誤発進抑制機能などの安全装備も充実しています。 なぜ、いすゞがこのような新しいシャシーを発表したのか。その背景には物流業界の課題があります。ただでさえ深刻なドライバー不足。免許を取った時期によって運転できる車が制限されるとなると、ますます状況は厳しくなります。そこでまず同社が〝普通免許で運転できる『だれでもトラック』〟というコンセプトでELFmioを発売。そのシャシーをキャンピングカー用にしたのがTravioだというわけです。