「ゴミのように扱われた」異例の敗走、ロシア兵が抱く不信感 データが示すプーチン氏の思惑とは #ウクライナ侵攻1年
いつまで続く“プーチンの戦争”
2月21日、プーチン大統領は軍事侵攻開始後初めてとなる年次教書演説に臨み、「ウクライナのネオナチ政権からの脅威を排除するため特別軍事作戦を一歩一歩、慎重に進め、直面している課題を着実に解決していく」と発言し、長期化する軍事侵攻を改めて正当化、国民に理解を求めた。ただ、戦況についてはほぼ触れず、目立った戦果を上げられていないこともにじみ出た。 浜准教授は今後、プーチン大統領が国民の精神性や感情に訴えかける場面がより増えていくと推測したうえで、ロシア社会に与える不可逆的な負の影響を危惧する。 「感情的な内面の動員は、一度やってしまうと終われない。例えばここで和平交渉に合意して戦闘が終わっても、発動されてしまった国民の感情はスイッチを切るようには切れない。そのときに、戦争に賛意を示した人たちと反対した人たちとの分断や、出国した人たちと国内で地道に反戦運動をした人たちとの間の亀裂によって、ロシア社会全体がバラバラになっていくというのは、あり得るシナリオで、たいへん危惧されます」
分析したデータから見えてきたのは、過酷な戦闘を強いられるロシア兵たちの「リアル」と、その現実を無視するように繰り返されるプーチン大統領が掲げる大義の「空虚さ」だった。 プーチン大統領の戦争はいったいいつまで続くのか。終わりはまだ見えない。