ファイナルで衝撃の敗戦。あと一歩で優勝を逃した川崎U-18のキャプテン土屋櫂大は何を思う?「この試合の悔しさは本当に忘れたくない」
5分と表示されたアディショナルタイムにまさかの展開
[クラブユース選手権(U-18) 決勝]G大阪ユース 3-2 川崎U-18/7月31日/味の素フィールド西が丘 【画像】堀北・ガッキー・広瀬姉妹!初代から最新19代目の藤﨑ゆみあまで選手権「歴代応援マネージャー」を一挙公開! 残された時間はあとわずか。2-1でリードし、初優勝は目前まで迫っていた。 7月31日に行なわれたクラブユース選手権(U-18) の決勝。川崎U-18とG大阪ユースが顔を合わせたなかで、試合開始30分前に雷雨に見舞われた。二度もキックオフ時間が後ろ倒しとなり、レギュレーションも40分ハーフから“40分1本勝負”に変更。同点の場合は延長戦とPK戦を実施せずに、両チームを優勝とする決定がなされた。 想定外の幕開けとなった決勝で、川崎U-18はG大阪ユースに1点を先行されたが、24分に右SB柴田翔太郎(3年)のゴールで同点に追いつく。29分には途中出場のFW香取武(3年)のボレーシュートで勝ち越しに成功。あとはリードを守り切るだけだったが、5分と表示されたアディショナルタイムにまさかの展開が待ち受けていた。 40+2分に右CKから同点弾を決められ、その4分後に直接FKをねじ込まれてしまう。あと一歩まで迫っていたクラブユース選手権(U-18)の初優勝はするりと逃げ、川崎の選手たちは茫然自失として、その場から立ち上がれなかった。 嗚咽が止まらない――。選手たちが、がっくりとした表情でロッカールームに引き上げたなかで、キャプテンのCB土屋櫂大(3年)も仲間たちと同じように悔しさを露わにしていた。 「自分たちの甘さが出た試合だった」。絞り出すように試合後の囲み取材で第一声を発した土屋は、その後も何度も“甘さ”というワードを出しながら、自責の念に駆られている様子をうかがわせた。 振り返れば、キャプテンを任された今季は怪我の影響で満足にプレーできず、U-18高円宮杯プレミアリーグEASTでの出場は11試合中4試合のみ。首位争いを展開するチームに貢献できていなかった。だからこそ、このクラブユース選手権に懸ける想いは強かった。 「自分は本大会出場をかけた予選に出場できず、チームメイトが自分を全国大会に導いてくれた。本当に感謝しかない。だからこそ、自分がキャプテンとしてチームを引っ張り、優勝させる責任があった」 リーダーシップと守備センスでチームを牽引し、日本一を掴み取る。そう信じてプレーし、29日の福岡U-18との準決勝では0-1で迎えた後半アディショナルタイムに起死回生の同点ゴールを決めて、PK戦勝利に貢献。これぞ“キャプテン”というパフォーマンスで決勝に導いた。 しかし、サッカーの神様は微笑まなかった。土壇場で優勝を逃した。簡単に現実を受け入れられない。だが、下を向いている時間はないし、次なる戦いに向けて前に進んでいく必要もある。 「キャプテンとして優勝させられなかった責任は本当に感じている。もっと自分が頑張らないとチームに迷惑がかかる。ただ、このクラブユースで自分たちの戦いが終わったわけではない。今日の試合を忘れずに。この試合の悔しさは本当に忘れたくない。今後のプレミアリーグに向けてやっていきたいと思います」 現状でプレミアリーグでは、首位の横浜FCユースと勝点1差の2位。後半戦は9月1日からスタートするが、今回のG大阪ユース戦を糧にできるか。リーダーとしての責任を改めて痛感させられた男は前を向く。最後に笑うために今日という日を忘れない。もっと強くなって帰ってくる。 取材・文●松尾祐希(サッカーライター)
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