「パン屋さん」の倒産が急増し年度最多を更新 小麦価格の上昇などコストアップが痛手に
原因別 『不況型』が約9割
原因別の最多は、「販売不振」の32件(前年度比100.0%増、前年度16件)で、パン屋さん倒産の8割超(構成比86.4%)だった。 以下、「事業の失敗」と代表者死亡などを含む「その他」が各2件(前年度ゼロ)、「既往のシワ寄せ」が1件(同3件)だった。 『不況型』倒産(既往のシワ寄せ+販売不振+売掛金等回収難)は33件(前年度比73.6%増、前年度19件)で、約9割(構成比89.1%)を占めた。
形態別 「破産」がほとんど
形態別は、最多が「破産」の36件(前年度比89.4%増、前年度19件)で、全体の97.3%を占めた。 以下、「内整理」が1件(前年度ゼロ)だった。 『不況型』倒産が約9割を占め、原材料高なども背景に、コロナ禍で業績が悪化していたパン屋さんのなかには、立て直しが進んでいない事業者も少なくない。こうした状況下で、倒産したパン屋さんのほとんどは再建を目指すだけの余力もなく、消滅型の「破産」の選択を余儀なくされている。
負債額別 規模が二極化
負債額別の最多レンジは、「1千万円以上5千万円未満」の21件(前年度比75.0%増、前年度12件)で、構成比では56.7%だった。「5千万円以上1億円未満」の7件(同75.0%増、同4件)と合わせて28件と、4件に3件(構成比75.6%)が負債「1億円未満」の小規模倒産だった。 一方で、「1億円以上5億円未満」が8件(前年度4件)、「5億円以上」も1件(同ゼロ)発生した。 自社でパンの製造から販売まで手掛けるパン屋さんは一定の設備投資も必要なため、負債が膨らむケースもあるとみられる。
従業員数別 5人未満の小規模経営が8割
従業員別は、最多レンジが「5人未満」の30件(前年度比87.5%増、前年度16件)だった。 以下、「5人以上10人未満」が4件(前年度同数)、「20人以上50人未満」が2件(同ゼロ)、「10人以上20人未満」が1件(同ゼロ)の順。 パン屋さんの倒産のうち、8割以上(81.0%)が従業員数5人未満の小規模経営だった。