続々大物獲得に名乗り?地方クラブ鳥栖が営業収益28億円超えの理由とは
5位に躍進した2012シーズンからJ1に定着しているサガンは、必然的に年俸総額も高騰。営業収益を伸ばしながらも、2014年1月期から2期連続の赤字を計上していた。 これが3期連続となるとクラブライセンスを剥奪され、Jリーグ退会を余儀なくされる。窮地でCygames社とスポンサー契約を結んだこともあり、2016年1月期には300万円ながら黒字に転換させている。 チーム強化へ最大限の支援を申し出たとされる同社とのタッグ結成は、金銭面を含めて積極的な交渉も可能にさせた。たとえばフェリックス・マガト氏の監督招へい。バイエルン・ミュンヘンなどでブンデスリーガを制したドイツの名将とは、2015シーズンのオフに正式契約寸前までこぎつけている。 このオフにもイタリア代表の守護神、ジャンルイジ・ブッフォン(ユベントス)の獲得に動いたとも報じられた。マガト氏に代わって招へいしたマッシモ・フィッカデンティ監督がイタリア人という縁で、39歳のレジェンドと接触をもったことを竹原社長も認める。 「それ(オファー)に近い形といいますか。正式なレターまでは出していないので、回答うんぬんはないんですけどね。とにかく、やれるところは全部やろうと、意思をもって動いてきたので」 元日本代表のGK権田修一(FC東京)や、横浜F・マリノス時代に「10番」をつけたFW小野裕二(シント・トロイデン)らの新戦力を迎えた今シーズン。2試合を終えて勝ち点1にとどまっているが、キャプテンのFW豊田陽平は首位争いに絡んだ昨年の第2ステージで得た好感触を、さらにアップさせたいと意気込む。 「けがをしている他の新しい選手たちも復帰してくるし、尻上がりによくなる、という感覚はある」 余談になるが、1‐1で引き分けた5日の川崎フロンターレ戦で先制点を許した日本代表FW小林悠には、オフにサガンが年俸1億8000万円の破格のオファーを出すも、フロンターレ愛を理由に断られている。 竹原社長によれば、J1の上位で戦うための経営規模の目安としてきた営業収益30億円に「2017年度には到達する」という。無理をしてでも勝つことでスポンサーがつき、戦力が整い始める好循環。地方クラブの「雄」となったサガンが見つめる先には、初のタイトル獲得が定められている。(金額は推定) (文責・藤江直人/スポーツライター)