流産してしまった人が犯罪者扱いに?アメリカ大統領選 中絶の権利巡って「男女間にあらたな分断」発生
◆若い男性がトランプを支持するのはなぜ?
ニューヨークは中絶が合法な州の1つですが、トランプ氏は全米での禁止の可能性も匂わせています。これに対してハリス氏は、女性が自分の体について自由な決定権があるべきだと主張。先日、ハリスの集会でスピーチしたビヨンセも「私は母親として女性の選択の自由を信じます」と強く訴えました。 女性の意思を尊重するハリス氏に支持が集まる一方で、なぜ若い男性はトランプ氏に流れるのでしょうか? ヒカル:若い白人男性がトランプを支持するのはなんとなくわかるんだ。大学生なんかは、自分の政治的信念が完全に固まっていないから、誰を支持するかは育てられた環境に影響されるよね。 たとえば、保守的なキリスト教の家庭で育ったらトランプ支持になるよね。でも他の人種で(トランプを)支持する人たちについては、トランプのどこに魅力を感じているのか理解できないな。 メアリー:たとえば、フロリダに住むキューバ系、カリフォルニアに住むイラン系、ナイジェリア系の人たちは、保守的な背景を持つ人が多い。そうなると、当然トランプに投票するでしょう。 だけど、アメリカで生まれ育った男性たちに関して言えば、女性のエンパワーメントのメッセージを多く受けて育っているのに、その背景を理解していないように感じるんだよね。 「ガールボス」とか女性のエンパワーメント運動を知っていても、女性がこれまでどれほど大変な思いをしてきたかをわかっていないし、理解もできない。だから、「女性が自分より優れているってどういう意味?」みたいに思っている。彼らはトランプの言っていることが自分の価値観に合っていると感じているんじゃないかな。 シャンシャン:あとは、ほとんどのビジネスマンがトランプを支持する傾向にあるよね。それは彼が大統領だったときに、たまたま経済状況がよかったからだよ。だから、彼が大統領になれば、また同じ利益を得られると期待している。ただの偶然だったのにね。 あとは、コロナ禍が発生したときに、トランプは多くのお金を配ったでしょう? それもトランプのいいイメージにつながっているんだよね。 メアリー:他の悪いことは全部無視して、ただお金をもらったことだけを覚えているんだよね。 ニューヨークタイムズでも、トランプを支持する若い男性は、社会にどんどん進出していく女性に取り残されたと感じている、という分析が掲載されていました。 「実際にアメリカの大学生の数を見ても、女性が男性を上回っています。そのため、歴史的に女性が置かれてきた弱い立場を理解せず、ただ過去を懐かしみ、保守化する男性が増えています」とシェリーは指摘します。 そうした男性たちにとって、トランプ氏が打ち出す“古き良きマッチョな男性像”は魅力的に見えます。同時に、彼らがもっとも重要視するのはお金です。先日トランプ氏は若い男性に絶大な人気を誇る、コメディアンでポッドキャスターのジョー・ローガンのポッドキャストにゲスト出演し、所得税を廃止する考えがあると語りました。そういうアプローチから、若い男性はトランプ氏に寄っていると考えられます。 中絶の自由と人権を重視する女性と、切実にお金が必要と感じている男性。「ハリスを支持する女性とトランプ支持の男性が、激戦州でどちらが多く投票するのかが、アメリカの運命を決める大きな要因になることは間違いなさそうです」とシェリーはコメントし、話題を締めくくりました。 (interfm「NY Future Lab」2024年10月30日(水)放送より)