流産してしまった人が犯罪者扱いに?アメリカ大統領選 中絶の権利巡って「男女間にあらたな分断」発生
ジャーナリストでZ世代専門家のシェリーめぐみがパーソナリティを務めるinterfmのラジオ番組「NY Future Lab」(毎週水曜日18:40~18:55)。ジャーナリストでZ世代専門家のシェリーめぐみが、ニューヨークZ世代の若者たちと一緒に、日本も含め激動する世界をみんなで見つめ、話し合います。社会、文化、政治、トレンド、そしてダイバーシティからキャンセルカルチャーまで、気になるトピック満載でお届けします。 10月30日(水)のテーマは「最後は女と男の戦い 大統領選でZ世代が激しくジェンダー分断する理由とは?」。「NY Future Lab」に所属するアメリカZ世代が、アメリカ大統領選における男女の分断について意見交換しました。
◆中絶の自己決定権を奪うトランプを女性は支持しない
日本では衆議院の解散・総選挙があっという間に終わり、アメリカの大統領選は残り1週間を切りました。激しい選挙戦は続いており、ハリス・トランプ両候補の支持率は依然拮抗しています。そして、ここに来て大きく注目されているのが男女の分断です。 女性のマジョリティがカマラ・ハリスを支持しているのに対し、男性はドナルド・トランプを支持。なかでも特にジェンダーギャップが大きいのは、若いZ世代です。 Z世代の6割はハリスを支持。ハリス氏を支持する女性はトランプに比べて30パーセント以上多くなっている一方で、男性のハリス支持はトランプ支持に比べ、わずか4パーセントの差に留まっています。 若いZ世代の女性がハリスを強く支持する背景には、トランプ氏が在任中に指名した3人の保守最高裁判事によって多くの州で禁止となった「人工妊娠中絶の問題」があります。 日本では政治案件になることはまずない中絶問題が、アメリカの女性にとってなぜこれほど切実なのでしょうか。これから子どもを産み、育てる、アメリカZ世代のリアルな声を聞いてみましょう。 シャンシャン:女性がハリスを支持する理由は、まずトランプが中絶に関して極端な反対意見を持っているからだと思う。 メアリー:中絶が非常に大きな要因だと思う。たとえば、将来私が子どもを持ちたいと思って妊娠し、流産したとする。そうなっただけで刑務所に行きたくないし、裁判沙汰になりたくないよ。というのも、流産は中絶と同じとされているんだよね。 実際に、ある女性が流産したときに訴えられたケースがあるよ。まるで彼女が自分の子どもを殺したかのように扱われていた。もう正気の沙汰じゃない。 シャンシャン:なんてひどい話。母親は我が子を失って悲嘆にくれているのに、その母親を犯罪者にしようとするなんて。私はさすがに中絶禁止には例外もあると思っていたんだけど、実際にはたとえレイプされたとしても、中絶はダメだという法律があるのは本当にショックだった。 それに、もし母親が生命にかかわるような重篤な状態になった場合でも、中絶が許されないなんてどうかしている。母親がいなかったら子どもは産めないんだよ。まったく理解できない。 何が腹立たしいって、女性が中絶できるかどうかを決めているのが高齢の男性だということだよ。彼らは間もなくいなくなるけれど、彼らが決めた政策は今後50年、100年と続く。その結果、私たちが苦しまなければならない。 ラボの女性メンバーによる話し合いでは、流産しただけで犯罪者扱いにされたという話があがりました。他にも、流産した女性が必要な医療を受けられずに命を落としかけたケースや、合法的に買った薬で中絶しようした際に、治療を拒否されて亡くなった女性もいます。 「テキサス州では中絶が禁止となってから、妊娠した女性の死亡率は1.5倍にもなったというショッキングなデータもあります。中絶は、事実上全面禁止する14の州では、女性の医療健康問題に発展しているのです」とシェリーは解説しました。