意外にハイテクな天気予報 「数値予報」と「高解像度降水ナウキャスト」の違いは?
活用方法によって違うモデル
数値予報には、どのような予報に活用されるかによって、さまざまな種類のモデルがあります。時間軸でみると、1日サイクルのものから長いものでは地球温暖化など研究用に10年スパンで予測するものまであります。また空間軸にもさまざま種類があります。 現在、気象庁が運用している主なモデルは以下の3つです。 (1)全球モデル 地球全体をカバーし、大気を20キロ四方の領域に区切って。1日4回行われ、一般の天気予報・週間天気予報の基礎資料になる (2)メソモデル 主に東アジア領域をカバー。5キロ四方の領域に区切って1日8回実施。大雨や強風など激しい現象を予測するためのモデルで防災向け (3)局地モデル 2キロ四方の領域に区切って、1時間ごと9時間先までを予測。より狭い領域、より高い頻度で実施。 2年前から運用開始し、数時間先に局地的な大雨が降る可能性などの把握に利用 全球モデルよりはメソモデル、メソモデルよりは局地モデルの方が、より細かい範囲で予測するため、より詳細な予測が可能です。
「ナウキャスト」どうやって予測?
8月7日からスタートした高解像度降水ナウキャストは、1時間以内の降水状況を予測するもので、目先の30分については大気を250メートル四方の領域に区切って予測することが可能で、局地的大雨(ゲリラ豪雨)などの予測がしやすくなりました。ちなみにこれまでのナウキャストは1キロ四方での予測でした。 前述のとおり、高解像度降水ナウキャストはスーパーコンピューターによる数値予報を使わず、これまでの雲の動きなどから予測します。例えば、2キロ四方毎に計算する局地モデル分の予測は、スーパーコンピューターでも約70分ほどかかるため 、1時間以内の先の動きを予測する「ナウキャスト」には“間に合わない”からです。 高解像度降水ナウキャストにおいても、予測するために一番大事なのは、やはり現在の大気の状態を正確に把握することです。そのために、いまどういう降水状況かを調べる観測が最初の作業になります。 雨は主に以下の2つの方法で観測します。 (1)雨量計 実際に地面に落ちてくる雨を直接量る。気象庁のほか国土交通省や自治体が持っているものからデータをもらってくる。データは正確だが、雨量計は海の上に置けないなど、設置できる場所は限られる (2)気象レーダー 全国20か所に気象ドップラーレーダーを設置。電波を飛ばして雨雲や雨粒に当たって跳ね返ってくる電波を調べて観測する。「面」的にデータを取ることができるほか、低いところから高いところまで3次元的にも取れる。雨粒ではないものに当たって電波が跳ね返ってくることもあり、誤差やノイズが出ることがある 雨量計だけでは、ある地点とある地点の降水しか把握できず、その間の地点の状態ががわかりませんが、気象レーダーのデータと雨量計のデータを合わせて補正した値をつくることで、より確かなデータをつくることができます。